【7月17日 AFP】ボクシング、WBC世界ヘビー級タイトルマッチ12回戦が16日、米アラバマ州バーミンガム(Birmingham)で行われ、王者デオンテイ・ワイルダー(Deontay Wilder、米国)が右手を負傷しながらも8回TKOで挑戦者のクリス・アレオーラ(Chris Arreola、米国)に勝利し、4度目の防衛を果たした。

 地元バーミンガムのファンの前での凱旋試合で、ワイルダーは対戦相手のアレオーラを血まみれになるまで一方的に攻め、9回の開始のゴングを聞くことなく勝利を収めた。

 アレオーラは初回に鼻の根元をあたりを切って出血すると、4回にはワイルダーのパンチをもらってダウン。カウント8でこらえ、レフェリーも続行可能と判断したが、直後のゴング寸前にも強烈なパンチを食らってよろめいた。そして左目は腫れあがってほとんどまぶたが開かなくなり、8回が終わったところでセコンドがレフェリーに棄権を申し出た。

 ワイルダーはこれで全勝(37戦36KO)を維持したが、驚いたことにワイルダーは右手を負傷していたようで、負傷箇所に氷を当てながら受けたリング上でのインタビューで、「みんなにKOを見せたかったけど、手が折れていて、筋肉も切れているんだ」と明かした。

 実際、ワイルダーは5回以降はほとんど右を使わなかったが、鋭い左のパンチを次々に浴びせ、7回には自陣コーナーへ戻るアレオーラの足をふらつかせていた。

 プロモーターのルー・ディベラ(Lou DiBella)氏は、ワイルダーのけがについて、「今夜のうちに地元の病院で検査してから、1週間以内に改めて専門家の診断を受けて、右手と右上腕二頭筋のダメージの度合いを測る」と語っている。

 一方、対戦相手のアレオーラはこれで36勝5敗1引き分け(31KO)となり、WBC世界ヘビー級タイトルマッチは3戦全敗、それもすべてKOでの敗戦となった。

 とはいえ、アレオーラは急きょ対戦相手に指名された選手だった。ワイルダーは当初、5月にアレクサンドル・ポベトキン(Alexander Povetkin、ロシア)との防衛戦を予定していたが、ポベトキンの検体からメルドニウム(meldonium)の陽性反応が検出されたため、試合が中止になり、両陣営がそれぞれ訴訟を起こす事態に陥っていた。

 それでもリング上のワイルダーは、そうした厄介ごとに集中力をそがれている様子はまったくのぞかせず、IBF王者のアンソニー・ジョシュア(Anthony Joshua、英国)、10月にWBA・WBO世界ヘビー級タイトルマッチを行うタイソン・フューリー(Tyson Fury、英国)とウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)の勝者といった、他団体の王者との統一戦に意欲を見せた。

「俺の目標はこの階級の統一だ。どいつがベルトを手にしようと、そいつが俺のやりたい相手だ」

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