【7月14日 AFP】長年にわたって米プロバスケットボール協会(NBA)のサンアントニオ・スパーズ(San Antonio Spurs)で主力を務め、11日に現役引退を発表したティム・ダンカン(Tim Duncan)が13日、スパーズの公式ウェブサイトに別れの手紙を投稿し、ファンやチームメートへ感謝の言葉をつづった。

 米領バージン諸島(Virgin Islands)生まれのダンカンは、1997年のドラフトでスパーズに全体1位で指名されてNBA入り。以来、19シーズンをスパーズ一筋で過ごし、1999年、2003年、2005年、2007年、2014年とチームを5度のNBA王者に導いたほか、2回のレギュラーシーズンMVP、3回のファイナルMVPに輝いた。

 ダンカンは、「19年前にキャリアの筋書きを作れと言われていたら、こんな旅路は夢でも描きはしなかっただろう」という言葉で手紙を始めた。

「この道のりの果てに、私は今この場所に立ち、畏敬の念とともに自らの経験を振り返っている。勝利や敗北は記憶されていくだろうが、私が何よりも忘れ難いのは人間だ。アリーナの内外を訪れてくれたファン、背中を押し、支えてくれたスタッフやコーチ、人生の友となるであろうチームメート(なかには対戦相手)、良い時も悪い時もともに過ごした家族と親友、そして何より、成長していく様子や、仕事に臨むパパを夢中で見守る様子をスナップショットで見せてくれる子供たち。そういった人たちだ」

「これだけの年月、愛を注ぎ、後押しをしてくれたサンアントニオ(San Antonio)の町にありがとう。世界中のファンにありがとう」

 ダンカンはスパーズで、トニー・パーカー(Tony Parker)、エマニュエル・ジノビリ(Emanuel Ginobili)とともにNBA史上最強クラスのビッグ3を形成。3人で挙げた勝利は、レギュラーシーズン(575勝)、ポストシーズン(126勝)ともにリーグ最多となっている。

 13日の引退表明後も、ダンカンは公の場に姿を現していない。コート上でのプレーと同様、派手な別れは望まなかったダンカンだが、13日には故郷バージン諸島のインターネットラジオで、引退に関する思いを明かしている。

 引退の理由について、ダンカンは「プレーがあまり楽しくなくなり始めた。そんなに楽しくなくなったんだ。楽しくなければ、私としては終わりだ」と話した。

 また、過去の偉大なNBA選手のなかで、自分をどのあたりに位置づけるかと問われると、「そういう議論があるのは知っているが、みんなの好きなようにランク付けしてくれて構わない」と話した。

 そして今後については、「この20何年で、最初から筋書きがあったことなんて一度もなかったよ」と話した。(c)AFP