【6月5日 AFP】2012年のロンドン五輪、2011年の第13回世界陸上大邱大会(13th IAAF World Championships in Athletics Daegu)の女子3000メートル障害で優勝したユリア・ザリポワ(Yuliya Zaripova、ロシア)が薬物違反でメダルを剥奪されたことにより、両大会でいずれも2位だったハビバ・グリビ(Habiba Ghribi、チュニジア)は4日、正式に金メダルを授与された。

 薬物違反をした選手に対する露反ドーピング機関(RUSADA)の処分が不十分だとして、国際陸上競技連盟(IAAF)がスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴し、CASがIAAFの主張を認めてから数週間後、グリビへのメダル授与が実現した。

 ザリポワは生体パスポートで異常が発覚し、禁止薬物規定に違反していたことが認められていたが、RUSADAは選手の記録が取り消される期間を「えり好み」したため、ザリポワのロンドン五輪と世界陸上でのメダルは維持される形となっていた。IAAFは同様に、ほかのロシア人選手5人に対するRUSADAの処分が十分ではないとして、CASに提訴している。

 グリビへのメダル授与は、チュニジアの首都チュニス(Tunis)近郊のラデス(Rades)で開催されている23歳以下の選手が参加する地中海競技大会(Mediterranean Games)で行われ、国際オリンピック委員会(IOC)のナワル・エル・ムータワキル(Nawal El Moutawakel)副会長が出席した。 

 メダル授与式では感極まった様子で国歌に耳を傾けていた32歳のグリビは、「私は2つのメダルを獲得しました。このことは私自身とチュニジアにとってとても栄誉なことです」とコメント。「ここ母国で両親、家族、スポーツ関係者、選手、五輪関係者と喜びを分かち合えるなんて・・・」

 自身も1984年ロサンゼルス五輪の女子400メートルハードルで金メダルを獲得しているエル・ムータワキル副会長は、「この五輪のメダルを彼女の国で、グリビに授与することがとても重要なのです」と語った。

 グリビは8月のリオデジャネイロ五輪で女子3000メートル障害の優勝候補に挙げられている。(c)AFP