【5月17日 AFP】16F1第5戦スペインGP(Spanish Grand Prix 2016)で、レッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)が史上最年少優勝を果たすカギになったのは、重圧の下で冷静さを保てたこと。――これは、彼を最も良く知る父親のヨス(Johannes Franciscus "Jos" Verstappen)氏の見解だ。元F1ドライバーのヨス氏は、15日の決勝レースで18歳の息子がオランダ勢として初の優勝を飾り、歴史を塗り替えた姿を敬愛のまなざしで見守った。

 モータースポーツ史に残る快挙を祝福される中、ヨス氏は、息子がレッドブルでのデビュー戦で、フェラーリ(Ferrari)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)とキミ・ライコネン(Kimi Raikkonen)という世界王者2人の追撃をかわしトップチェッカーを受けたレースを振り返った。

「息子は冷静で、やるべきことを分かっている。それが彼の人生だ。すべてをレースにささげてきたので、彼にとっては至極当たり前のことなんだ。しかし、F1での優勝は本当に特別なことだ。今回の勝ち方ではなおさらだよ。彼は主導権を保ち、ミスをしなかった。優勝にふさわしい」

 このレースでは、1周目にメルセデスAMG(Mercedes AMG)の2台が接触する波乱が起きた。昨シーズンの年間王者であるルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)と、現在総合トップに立つニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)は共にリタイアを余儀なくされ、フェルスタッペン優勝のための舞台が整った。

 さらに、経験値では自身を上回る同僚のダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)とは逆に、3ストップではなく2ストップの戦略を採用したことも、フェルスタッペンの勝因になった。

 それでも、わずか10日前にダニール・クビアト(Daniil Kvyat)との交代で姉妹チームのトロ・ロッソ(Toro Rosso)から昇格したばかりのフェルスタッペンが、その最初のレースで優勝をつかみ取ったのは、ドライバー自身の力量によるものだったといえる。

 ヨス氏は、「この2週間はいろいろなことがあったが、最も重要なのは、マックスがすべてに立ち向かってみせたということだ。彼はトップチームでトップのマシンを駆ることに興奮しながら、懸命に仕事に励んでいた。とてもフレキシブルに仕事をこなしていて、それを再び示した」と誇らしげだった。

 ヨス氏が、F1通算106戦で優勝は一度もない一方で、息子は出走24レース目にして初優勝を飾っている。

「新しいチームに加入して、このような快挙を成し遂げるなんて信じられない。チームが変わったばかりで、こんなことが起こるなんて、まったく思っていなかったよ。しかもこんな形でね。だが、これからさらに勝つチャンスがあるのは分かっている。レッドブルはトップチームで、レースの勝ち方を知っている」

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