【5月6日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)のリチャード・パウンド(Richard Pound)元会長は5日、ロシアの陸上競技界が国際大会での出場停止処分を覆すことに成功しても、今夏のリオデジャネイロ五輪で同国のいかなる競技の選手も信頼することは「極めて困難」だろうと語った。

 ドイツ公共放送連盟(ARD)のドキュメンタリー番組の放映を受けてパウンド氏が責任者を務めるWADAの独立委員会が提出した報告書により、ロシアの陸上選手たちは昨年11月、すべての国際大会への出場を禁止された。パウンド氏はこれを「国家ぐるみのドーピング」と表した。独立委員会の報告書を受け、ロシアの反ドーピングシステムの再建と五輪復帰の目標に向けてWADAの「作業部隊」が同国に送り込まれている。

 ロシアに五輪出場の青信号が出るか否かは、6月17日にオーストリアのウィーン(Vienna)で行われる国際陸上競技連盟(IAAF)の評議会の集会で決まる。

 そんな中パウンド氏は、ロシア側が必要な変革をもたらそうとする意思を本当に持っているのかどうかに、疑問を呈した。

 英ロンドン(London)で行われたスポーツ関連団体の会議に出席した74歳のパウンド氏は、「11月に報告書を提出した際、われわれは、やるべきことを全速力で片付ければ彼らは復帰できる、ただそれは彼らの手にかかっていると述べた」と語った。

「彼らが戻ることに圧力がかかることもあるだろうが、体系の面から見ても全員が五輪に出場することは良いことだ」

「ただ、それが道理にかなうかどうかは、まだ明らかになっていない変革次第という条件がある。まだ、(ロシア側が)拒絶している要素があるのだと考えている」

 またパウンド氏は、リオ五輪に出場する全競技のロシア人選手に対して、厳しい疑惑の目が向けられるだろうと付け加えた。

「仮に私がロシアの陸上選手の復帰を認めた国際オリンピック委員会(IOC)の会長だとして、すべてのロシア人競技者はドーピングを行っておらず、すべて一新されたと間違いなく確信を持てるだろうか?私がそうだと口にするのは非常に困難だと思う」

(c)AFP