【4月8日 AFP】集団性的暴行で、50年以上前に有罪判決を受けていたことが明らかとなったハンガリー水泳協会(MUSZ)のヘッドコーチが7日、辞任した。

 ラースロー・キッシュ(Laszlo Kiss)氏(75)はこの日、国営ハンガリー通信(MTI)で「ハンガリーのスポーツの利益のため、そして私に直接向けられた攻撃で健康を害したため、本日をもって辞職することを決断しました」と声明を発表した。

 同国内のニュースサイトは5日、当時21歳だったキッシュ氏が1962年に刑務所生活を送ったと報じた。キッシュ氏はその前年、他の水泳選手2人とともに若い女性への性的暴行に加担したとして、3年の懲役刑を受けた。報道によると、約20か月で出所したという。

 1965年から指導者を務め、2000年に同協会のヘッドコーチに就任したキッシュ氏は、1988年から96年にかけて五輪で通算五つの金メダルを獲得したクリスティーナ・エゲルセギ(Krisztina Egerszegi)氏らを指導した経験を持つ。

 競泳の強豪国でもあるハンガリーを揺るがした新真実の発覚を受け、キッシュ氏は「人生で新たなチャンスを与えられ」、それを「手にした」と語っている。

 また同氏は、約40年間続いた社会主義時代の1962年に受けた有罪判決は、見せしめ裁判でのものだったとし、自身の潔白を証明したいと述べている。

 水泳協会の上層部とコーチらの独立委員会は6日、投票により全会一致でキッシュ氏への支援を決めたが、弁護士や児童心理学者、政治家を含む国民からは、辞職を求める声が強まっていた。(c)AFP