■加速するスポーツ界の変化

 20年前の五輪と比べて、スポーツの世界はものすごいスピードで変化している。

 1992年の仏アルベールビル冬季五輪、初採用されたスキーのモーグル・フリースタイルで金メダルを取ったエドガー・グロスピロン(Edgar Grospiron)は、ベテランと呼ばれることについてこう語っている。「最近(アルプスの)ラルプ・デュエズ(L'Alpe-d'Huez)でスキーをしていたところ、子供2人が私のところに来て1人が『エドガー・グロスピロンでしょ』と言ったんだ」

 グロスピロンがそうだと答えると、その子はもう1人の子に向かって「すごい、彼がキャンディッド・トベックス(Candide Thovex)にスキーを教えた人だよ」と言った。トベックスは、2000年代初めにモーグル・フリースタイルのスターとして、グロスピロンの後継者となった選手だ。

 グロスピロンに言わせれば、今日の若いスキーヤーは常に新しい変化を求めていて、10年前に新しいスポーツと呼ばれたものは堅苦しすぎると思われている。例えば今、山岳リゾートで人気を集めているのは、スキーヤーがパラグライダーで降下しながら雪の上に着陸するスピードライディングだ。

 スケートボードはもう古いと考える人たちもいる。パルクールやフリーランニングと呼ばれる競技が、最新のアーバンスポーツだ。ある地点からある地点まで、走ったり宙返りしたりしながら、壁などの障害物を越えて到達する競技だ。

「スポーツにとって重要なのは、若い世代とのつながり。それがあれば新しいアスリートたちがピラミッドの底辺から生まれてくる」と、IOCのエグゼクティブ・ディレクター、クリストフ・ドゥビ(Christophe Dubi)氏は言う。「ゲームのルールややり方についても同じことが言える。プレゼンの仕方、音楽、照明など、すべて重要だ」

 五輪の新種目の候補となっているサーフィン、スポーツクライミング、スケートボードについて、ドゥビ氏は「どれも伝統的なスポーツとなっており、もはやライフスタイルの一つだ」と語った。(c)AFP/Francoise Chaptal in Paris and Jim Slater in Washington