【2月25日 AFP】サッカー元トルコ代表の点取り屋で、W杯日韓大会でのトルコの3位躍進にも貢献したハカン・シュクル(Hakan Sukur)氏が、同国のレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領を侮辱するツイートを投稿したとして、最大4年の禁錮刑を科される危機に直面していることがわかった。

 同国の通信社ドーガン(Dogan)によれば、シュクル氏は自身のツイッター(Twitter)アカウント内の発言に「レジェプ・タイップ・エルドアン大統領とその息子を侮辱する内容」が含まれていたとして、罪に問われているという。どの投稿が侮辱とみなされたかは明らかになっていない。

 本人は、投稿に大統領を標的にする意図はなかったと弁解しているが、検察はこの主張を退けツイートは「明らかに大統領と関係がある」と断言している。

 有罪となった場合、44歳のシュクル氏は最大で4年の禁錮刑が科される可能性がある。起訴状はすでに受理されており、初回の審理は数週間以内に行われる見込みとなっている。

 1987年から2007年にかけてプロサッカー選手として活躍したシュクル氏は、トルコ代表の歴代最多得点記録を持つ同国史上最高の点取り屋で、代表戦112試合に出場して51ゴールを決めた。なかでも、トルコを3位躍進へ導いた2002年W杯日韓大会のしびれるようなパフォーマンスは、今も人々に記憶されている。

 引退後はその知名度を生かして政界へ進出。2011年にはエルドアン氏率いる公正発展党(AKP)から下院議員選挙に出馬し、当選を果たした。

 ところが2013年にエルドアン首相(当時)と側近に対する大規模な汚職疑惑が持ちあがると、議員を辞職し、米国に亡命中のイスラム聖職者で、エルドアン氏と対立するフェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gulen)師の側に変節していた。

 トルコではほかにも、エルドアン大統領や政府幹部を侮辱した疑いをかけられ、ジャーナリストやブロガー、一般市民が法廷へ引き出される事例が相次いでいる。

 2014年の就任以降、エルドアン大統領はソーシャルメディアや公の場での政権批判を一切容認しない姿勢を示しており、反対勢力からは、独裁色を強めていると言われている。

 シュクル氏は、今もツイッターの利用を続けており、米カリフォルニア(California)州へ移って、英語を学びながらスポーツ施設を開設するプロジェクトに取り組んでいると話している。審理に姿を見せるかどうかは、現時点でははっきりしていない。(c)AFP