【5月26日 AFP】国連薬物犯罪事務所(UNODC)は26日、覚せい剤の一種メタンフェタミンのアジア太平洋地域での押収量が、最近5年間で約4倍に増えているとの報告書を発表した。

「メス」とも呼ばれるメタンフェタミンのアジア太平洋地域での押収量は、2008年の11トンから、UNODCが追跡した直近の記録である11年にはほぼ4倍の42トンに達した。報告書では、メタンフェタミンの製造・消費の増加の背景について、アジア太平洋地域の富裕化、経済統合の進化による越境犯罪ネットワークの覚せい剤取引の活発化などを挙げている。

 またUNODCは、「リーガルハイ」と呼ばれる新たな精神活性物質の製造と消費が著しく増加していることも報告している。こうした物質は、エクスタシーや大麻といったドラッグの効果に似せて製造されているが、薬物に関する国際条約でまだ規制されていない、いわゆる「脱法ドラッグ」だ。アジア太平洋地域で報告されたこの種の化合物は09年には34種類だったが、14年11月までに137種類に増加。中でもオーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、日本での報告数が多くなっている。

 タイの首都バンコク(Bangkok)で発表された報告書の対象には、東南アジア、東アジア、オセアニアは含まれているが、南アジアは除外されている。(c)AFP