■ベッテル「夢がかなった」、アロンソは「難しい決断」

 2010年から13年にかけてF1で総合4連覇を達成したベッテルは、自身にとって「最大のアイドル」であるシューマッハ氏の偉業を再現する機会が巡ってきたことを喜んでいる。

 ベッテルは「僕のF1でのキャリアは次の段階に進み、これからはスクーデリア・フェラーリで戦うことになる。昔からの夢がかなった」とコメントした。

「小さいころ、赤いマシンに乗ったミハエル・シューマッハは僕にとって最大のアイドルだった。そして、ついにフェラーリに乗るチャンスがもらえたことは、僕にとっては信じられない名誉だ」

「フェラーリはこのスポーツでも特に伝統のあるチームだし、今の僕は、チームをトップの座に戻したいという意欲に満ちあふれている。全身全霊を注いで目標を実現したい」

 1996年から2006年までフェラーリに在籍した45歳のシューマッハ氏は、2013年12月にスキー中の転倒で脳に深刻な損傷を受け、現在はスイスの自宅で治療を続けている。

 一方、アロンソについては、「双方が合意の上で」フェラーリを去ることが決まったとチームの声明で正式に発表された。アロンソは、マクラーレン・ホンダ(McLaren-Honda)でのマクラーレン復帰がうわさされている。

 フェラーリは声明で、「フェルナンド・アロンソは今季終了をもってチームを離れる。まだ1戦が残っているが、5年の在籍期間中に、アロンソは合計1186ポイントを獲得し、表彰台44回、優勝11回を達成した」とコメントしている。

「スクーデリア・フェラーリの全員が、フェルナンドが人間として、ドライバーとしてチームにもたらした多大なる貢献に感謝している」

 アロンソは、ルノーF1 (Renault F1)に在籍した2005年と2006年に年間優勝を達成したが、フェラーリでの5年間でタイトル獲得はならなかった。そしてアロンソは、今回の決断が簡単なものではなかったと認めている。

 アロンソは「難しい決断だったが、悩みぬいて出した結論だし、最初から最後まで、愛するフェラーリのことを一番に考えていた」と話した。

「スクーデリア・フェラーリを離れることになったが、この5年で自分はドライバーとして最高の高みに到達できた。大きな壁に立ち向かうことで、自分の限界を押し上げることができたんだ」

「チームと一緒に成し遂げてきたことを、とても誇りに思う。今はとてもワクワクした気持ちで、未来に目を向けているよ。だけど心の一部は、いつまでも跳ね馬のものだ」

(c)AFP/Justin DAVIS