【8月15日 AFP】中国でヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性であることを理由に旅客機への搭乗を断られた乗客2人とその知人が、航空会社を提訴したと国営メディアが15日、報じた。

 国営英字紙・環球時報(Global Times)によると、2人はHIV感染者ではない知人と3人で、中国の格安航空会社(LCC)、春秋航空(Spring Airlines)を利用して遼寧(Liaoning)省の瀋陽(Shenyang)から河北(Hebei)省の石家荘(Shijiazhuang)に向かう予定だった。だが、同航空職員にHIV陽性であることを伝えたところ搭乗を拒否され、航空券はキャンセルになったと伝えられた。

 このため3人は、春秋航空の対応は差別だとし、謝罪と賠償金4万8999元(約82万円)を求めて同航空を訴え、瀋陽の裁判所がこれを受理した。HIV感染者に対する差別で航空会社が訴えられた訴訟は中国では初めてだと環球時報は伝えている。

 中国におけるHIV差別の歴史は長い。HIV感染者は公職につけず、HIV感染者であることを雇用主に気づかれれば失職する恐れもある。治療を求めて訪れた病院で門前払いにあった感染者もいる。さらに2010年まで、HIV感染者の外国人は中国へ入国を禁じられていた。(c)AFP