会長のあいさつの後、音楽とレーザー光線のなか、27日に行われる国内での最後の親善試合、キプロス戦を控える選手がユニホーム姿で登場すると、集まった無数のファンは青のケミカルライトを振り、大歓声で迎えた。

 この日、最も大きな声援が送られたのは香川真司(Shinji Kagawa)と本田圭佑(Keisuke Honda)だった。一方でDFの吉田麻也(Maya Yoshida)が「夢はW杯で優勝……」と言った直後に「……(試合に)勝つこと」と訂正すると、会場からは大きな反応があった。

 壮行会に先立って、代表チームはブラジルの気候に順応するため、穏やかな気候の鹿児島で4日間の練習合宿を行い、体を追い込んでいる。

 会場のファンが「夢を力に」と書かれた横断幕を広げた壮行会で、選手たちは笑い声をあげたり、冗談を言ったりしていたが、アルベルト・ザッケローニ(Alberto Zaccheroni)監督は、W杯のために組まれたポップデュオが目の前で応援ソングを歌うと、驚いたような様子を見せていた。

 また、レプリカユニホームを着たエスコートキッズとともに選手が登場し、騒々しく行われていた壮行会だが、東日本大震災の被災地の小学生から応援メッセージが寄せられた場面では、その雰囲気も改まった。

 キタハラトモヒロくんは「僕の夢は福島の復興です。また、お祭りに行きたいです。そして、前と同じように日本代表に福島で練習をしてもらいたいです」とスピーチした。

 福島県にあるサッカー施設で、以前は日本代表も定期的に練習に活用していた「Jヴィレッジ(J-Village)」は、震災後に原発事故への対応拠点となり、事故発生当時は自衛隊や東京電力(TEPCO)の職員が寝泊まりしたこともあった。