救命救急病棟で働いていたホールさんは、「大きな銃を持った男性」に肘をつかまれ、「こっちを頼む」と連れていかれた。

「処置室に入ったとき、ケネディ夫人は(横たわっていた大統領の)足元に立っていた」と、ホールさんは言う。「私の見立てでは、大統領はもう亡くなっていた。もう体が青白くなっていたから。とくに口の周りは真っ青だった。バイタルをチェックしたけど、何の動きもなかった」

「ほかの医師たちがやって来て、気管切開を始めた……でももうできることは何もなかった。私たちが救急処置をやめる少し前に、神経外科医が来て、(大統領の頭から)髪の束を手にとった。そこで私は、脳の大部分があるべき場所に残っていないことを知った。彼の脳はジャッキーの全身に飛び散っていた。そしてコナリー知事夫妻にも、運ばれてきたストレッチャーにも」

 第35代米大統領ジョン・F・ケネディがパークランド病院に搬送されたのは、午後0時38分。患者番号24740。死亡宣告時刻は、午後1時だった。 (c)AFP/Fabienne FAUR