【11月23日 AFP】故ジョン・F・ケネディ(John F. KennedyJFK)元大統領の暗殺事件からちょうど45年目の22日、米国国民は、若きカリスマの次期米大統領に、かつてのJFKの姿を重ね合わせた。

 次期米大統領に選出されたバラク・オバマ(Barack Obama)氏は、その高尚な理想とカリスマ性で、1963年にテキサス(Texas)州ダラス(Dallas)で暗殺された故ジョン・F・ケネディ元大統領とくり返し比較されてきた。

 オバマ氏のクールな演説やその知性、また、政治家のなかで若く、4年前に上院議員に初当選したばかりという経験不足の面は、多くの人にとってJFKの映し鏡として受け止められてきた。

 米政界における暗殺の脅威は今に始まったことではない。エーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)大統領が1865年に、ジェームズ・ガーフィールド(James Garfield)大統領が1880年に、ウィリアム・マッキンリー(William McKinley)大統領が1900年に、そしてジョン・F・ケネディ大統領が1963年に、それぞれ暗殺された。

 アメリカン大学(American University)のジェームズ・サーバー(James Thurber)行政学教授は、現代は、ケネディ元大統領やマーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King)牧師が暗殺された時代と類似点があると述べる。「オバマ氏がアフリカ系米国人だという意味では、現代の方が以前よりも歴史的な出来事でさえある」

 これまでに、すでに2件のオバマ氏暗殺計画が阻止されている。1件目は8月、コロラド(Colorado)州での民主党大会開催中に暗殺を企てたとして4人が逮捕された。2件目は10月、連続武装強盗を起こした上でアフリカ系米国人88人を殺害し、最終的にオバマ氏に自爆攻撃を仕掛けるという計画を立てていたとして、テネシー(Tennessee)州で白人至上主義者の2人が逮捕された。

 地政学的な情報活動についての分析を提供する米情報関連企業「ストラトフォー(Stratfor)」のスコット・スチュアート(Scott Stuart)テロ・安全保障上級アナリストによると、米大統領警護隊(シークレット・サービス、US Secret Service)は、慎重に秘密裏に準備される計画の方が特定が困難だとして懸念しているという。

 スチュアート氏は、テネシー州の白人至上主義者らは「基本的にアマチュアで、道化だった」と説明する。その上で、シークレット・サービスや米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)が最も注意を払っているのは、プロフェッショナルな「一匹おおかみ」タイプだと語った。

 スチュアート氏は、このタイプの単独行動の暗殺者の脅威は、「捜査当局に対して多くの問題を突きつけている」と述べる。「潜入(捜査)すべき組織がない。傍受すべき通信がない。密告するような共犯者がいない。だから、このタイプの人物は非常に危険なのだ」と、スチュアート氏は説明した。(c)AFP/Virginie Montet