【10月18日 AFP】子どもの頃に混雑した駅で生き別れたインド人男性とその家族が24年ぶりに再会した──再会のきっかけとなったのは、男性の腕に入っていた母親の名前の入れ墨だった。

 1981年、当時6歳だったガネーシャ・ラグナト・ダンガド(Ganesh Raghunath Dhangade)さんは、両親と共に列車に乗ろうとした際に両親とはぐれてしまい、たどり着いたムンバイ(Mumbai)の駅で漁師の男性に助けられた。以降、孤児院2か所で生活を続けたという。

 その後、ダンガドさんは交通事故により約4か月間の昏睡状態に陥り、家族や住んでいた家などの記憶を失ってしまう不運に見舞われた。それでも数年間にわたって警察署に通い詰め、寄せられる行方不明者の資料に目を通し続けた。そして2011年、ダンガドさん自身が警察官になった。

 AFPの取材に対してダンガドさんは、「決してあきらめなかった」と話し、右手に刻まれたマンダ(Manda)という母親の名前の入れ墨を唯一の手掛かりに探し続けたことを明かした。

 あるとき、交通事故に遭って以来忘れていたもう一つの手がかりが最初にいた孤児院の記録から見つかった。ダンガドさんは当初、自身の出身地についてムンバイに隣接する地区のママ・バンジャ(Mama Bhanja)だと話していた。

 10月初め、同僚とともにママ・バンジャを訪れたダンガドさんは、マンダという名の女性を尋ねて回ったところ、何年もの間、丘の上で暮らす高齢女性の小屋に案内された。

 ダンガドさんは、「何年も前に息子と生き別れたと言うので、私はその子に何か目印となるようなものはないのかと尋ねたんだ。すると彼女は子どもの腕に入れ墨があると話してくれた。私は腕の入れ墨を見せた。彼女はそれが何を意味するのかをすぐに理解した」と述べ、再開の瞬間を説明した。

「私たちは数分の間無言だったが、その後抱きしめあい、泣き続けたよ」

 ダンガドさんは今、失った時間を取り戻そうと、できる限り母親と3人の兄弟たちと過ごすようにしている。

「私は今でもここ数週間で起きたことが信じられない。これは紛れもなく神の意志だ。奇跡だよ」

(c)AFP