■ブンティン選手とカンボジア陸連の対立鮮明に

 ブンティン選手は、瀧崎選手の出場資格が剥奪されることになれば、カンボジアはマラソン競技から手を引き、他の競技から規律を守り、意見を言わない代表選手を選ぶことになるだろうとの見解を示している。

 しかしながら、カンボジア五輪委員会と同国の陸上連盟は、瀧崎選手を全面的にサポートする姿勢を崩していない。

 カンボジア五輪委員会の関係者は「たしかにヘム・ブンティンがナンバー1だ。彼の記録も素晴らしい。だが、規律の面ではそうではなかった」と話し、同選手が過去にユニホームを忘れ、大会主催者を失望させたことを明らかにした。

 2008年の北京五輪に出場したブンティン選手は、同大会で問題を起こしておらず、開会式ではカンボジア代表の旗手を務めた。同五輪でブンティン選手は、最新の記録より10分遅いタイムで73位に終わっている。

 北京五輪開幕前までブンティン選手は、荒れ果てたスタジアムに住み込んでいた。しかし、貧しい生活を送っている様子が海外メディアで紹介されると、読者の一人が新しいランニングシューズを彼に提供した。

 ブンティン選手は「私はカンボジア人の子どもで、カンボジアで生まれ育ったんだ。自分でスポンサーを探し、海外での練習場を確保した。なのに、どうしてだ?こうなった理由は自分にも責任はある。しかし、私の最終目標は国際的な場でカンボジアのスポーツを発展させることなんだ」と語った。

 カンボジア五輪委員会の関係者は、ブンティン選手が同国陸連との関係を悪化させず、再び良好な関係を築くことができれば、代表チームに入れるだろうとの見解を示した。

 五輪委員会の関係者は、ロンドン五輪には間に合わないとしながらも、「ミャンマーで行われる2013年の東南アジア競技大会(2013 Southeast Asian Games)にカンボジア代表としての出場は可能だ」と話した。(c)AFP/Suy Se