【8月3日 AFP】「叫び(The Scream)」や「接吻(The Kiss)」、さらに一連の「マドンナ(Madonna)」などの作品を通して、ノルウェーの画家エドバルト・ムンク(Edvard Munch)の脳裏に焼き付く特徴的な画風を探究する企画展「エドバルト・ムンク―マスター・プリント(Edvard Munch: Master Prints)」が7月31日、米ワシントンD.C.(Washington D.C.)の国立美術館(National Gallery of Art)で開幕した。

 病、狂気、そして死が自分につきまとう天使だと言ったムンクの60点のリトグラフが展示された館内には、ダークな空気が漂っている。

■作品の一貫した質の高さが見どころ

「この企画展の驚くべき点は、展示されている作品の一貫した質の高さだ。同館所蔵品のほか、2つの個人コレクションから集めた作品であり、ほかでは見ることができない。色遣いを変えたバージョンもある。毎回違う色づけをされており、非常に価値がある」

 ジョージタウン大学(Georgetown University)の教授(美術史)でキュレーターを務めるエリザベス・プレリンガー(Elizabeth Prelinger)氏はこう語る。

■展示会を中止にしたほど「ショッキング」な作品も

 1895~1914年に描かれた8点の「マドンナ」も展示されている。

 その中で最も有名なのがヌードとして描かれた一枚だ。1892年、ドイツ・ベルリン(Berlin)で展示された際、鑑賞者にとって非常にショッキングだったため、展示会自体が中止されたという経緯がある。プレリンガー氏によれば、「人びとはわいせつな絵画だと感じた」という。

 子ども時代に結核で死亡した母や姉の思い出、精神病院での療養、激しい恋愛、アルコール依存などあらゆる要素が、ムンクの作品には詰まっている。

 パリで絵画を学び、ゴーギャンやゴッホの影響を受けたムンクは81歳のとき、ノルウェーで最期を迎えた。

 企画展「エドバルト・ムンク―マスター・プリント」は、10月31日まで開催されている。(c)AFP