【3月5日 AFP】中国の革命指導者、故毛沢東(Mao Zedong)主席の孫、毛新宇(Mao Xinyu)氏(40)が5日、祖父が礎を築いた国の象徴的中心である北京の人民大会堂(Great Hall of the People)の出口を間違え、報道陣に囲まれたあげく、側近に「救出」してもらう一幕があった。

 全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕した5日、人民解放軍(People's Liberation Army)の大佐である毛氏が人民大会堂を後にしようとしたところに報道陣が群がった。緊急で駆けつけた消防隊が護衛し、毛氏から報道陣を押しよけるようにして進んだが、天安門広場(Tiananmen Square)隣の駐車場に停めたはずの毛氏の車が見つからず、あっという間に祖父・毛沢東の廟からわずか数百メートルの場所で、報道陣に取り囲まれてしまった。軍の一隊が現場に駆けつけ、車を探し続ける毛氏を救出して連れ去るまで、混乱は数分間続いた。

 到着した軍側近に毛氏が「わたしの車はどこだ?」と聞き、側近が「北門です」と答えると、毛氏は「われわれが今いるのはどこなんだ」と尋ねたという。毛氏が大会堂から出たのは東門だった。

 一党支配する共産党が厳格な情報統制を敷いている中国では、前もってお膳立てされたシナリオ以外の場面で、政治家や党高官とメディアが接触することはきわめて珍しい。

 毛氏は人民解放軍の軍事科学院(Academy of Military Sciences of the People's Liberation Army)の戦争理論・戦略研究部の副部長を務める。何冊かの著書もあり、中には「わたしの祖父、毛沢東」と題した一冊もある。(c)AFP

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