人型ロボット、北京でハーフマラソンに挑戦――中国のAI技術に注目集まる
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【3月28日 CNS】北京市・亦荘にて4月13日、世界初の「人型ロボット・ハーフマラソン大会」が開催される。世界中のロボット企業や研究機関などが参加し、自社の人型ロボットを出場させる。この大会は、ロボットの安定性、バッテリーの持続力、機体構造、長距離走行における高信頼性アルゴリズムなど、主要技術に対する総合的な試練であるため、国内外から大きな関心を集めている。
現在、中国では人型ロボットの技術革新が相次ぎ、応用範囲も拡大している。高所作業から工場勤務まで、人びとの「SF映画が現実に」のイメージを次々と塗り替えている。
マラソン大会に向けて、すでに多くの中国製人型ロボットが屋外走行テストを開始している。先月末には、北京人型ロボットイノベーションセンターが開発した「天工」が実地テストで134段の長い階段を連続で登ることに成功し、世界記録を更新した。
注目すべきは、この記録が事前に階段の3Dモデルをスキャンしてプログラム通りに動いたのではなく、「大脳」と「小脳」にあたる認知システムを用い、自身で前方の地形を認識し、リアルタイムで環境分析を行いながら「感覚で歩く」方式で達成した点である。これにより、人型ロボットの複雑な環境における自律適応能力が大きく向上し、将来的な救助や探査といった現場への応用も視野に入ってきた。
先月には、深セン市(Shenzhen)では人型ロボット「PM01」が反射ベストと「深セン警察」と書かれた名札を付け、警察官と共に古城南頭エリアで巡回パトロールを行い、通行人の注目を集めた。地元警察署の説明によると、このロボットは主に巡回機能を担い、異常を発見した場合は所轄に通報して警情の把握を助けるという。
さらに、ロボットはパトロールだけでなく、複数台が協力して工場勤務もこなしている。最近では、深セン市優必選科技(UBTech Robotics)の産業用人型ロボット「ワーカーS(Walker S)」が極氪(ZEEKR)5Gスマートファクトリーで、複数の人型ロボットによる同時・多目的・協調作業を世界で初めて実施した。
これらのロボットは、大型部品を共同で搬送する際には自律的にルートを計画し、姿勢や力加減を調整する。また、柔らかい部品を扱う際には、触覚センサーを活用して繊細な力加減を行い、破損やズレを防止。品質検査では、視覚で位置を確認し、力覚センサーで微調整を行うなど、非常に高精度な作業をこなしている。これは、中国製人型ロボットが単体での動作から「集団知能」へと進化しつつある証でもある。
このような進歩はSNSでも話題となっており、3月16日にはPM01がストリートパトロールの合間に映画『功夫(邦題:カンフー・ハッスル)』をモチーフにしたダンスを披露。機械的な美しさと躍動感を見事に融合させ、ネット上で大きな反響を呼んだ。一方で、「実際に人びとの生活に役立つのか」「高齢者介護や災害救援などで実用化は可能なのか」といった現実面での疑問も出ている。
この点について、北京深藍学院の開発者・施祺(Shi Qi)氏は、「高齢者ケアや災害現場での本格利用にはまだ時間がかかるが、3〜5年以内に大きなブレイクスルーが起きる」と自信を見せている。また、今回のハーフマラソンに強い期待を寄せ、「人型ロボットが人間と同じスタートラインで競い合うこと自体が業界の重要な進歩。柔軟性・バッテリー持続力・ソフトとハードの連携度など、21キロのレースを通じて、最も実践的な評価が可能になる」と語った。
なお、今回のマラソンは総距離21.0975キロで、ロボット向けに独自ルールが設定されている。レース時間は約3時間30分で、途中でロボットを交代する場合は1回ごとに10分のペナルティが課されるが、バッテリー交換についてはペナルティなし。最終的な成績は、完走時間と交代回数に基づいて評価されるという。(c)CNS/JCM/AFPBB News