【3⽉4⽇ Peopleʼs Daily】中国・青海省(Qinghai)海南チベット族自治州(Hainan Tibetan Autonomous Prefecture)の標高3816メートルの瓦里関山山頂には、瓦里関地球大気バックグラウンドステーション(以下、瓦里関観測所)という施設がある。「地球大気バックグラウンド」とは、大気に含まれる化学物質などについて局所的な差異を除去した地球全体の状況を意味する。そのため、地勢が孤立していて半径数十キロ以内に人口が少なく、工業活動がほとんどない場所に設置される。

 瓦里関観測所はこれらの条件を満たした世界気象機関(WMO)が認める34か所の観測所の一つであり、ユーラシア内陸部としては唯一で、世界で標高が最も高い場所にある。正式稼働開始は1994年9月17日だった。

 気温はセ氏氷点下20度以下になり、大雪で閉ざされることも多い。観測員の生活は、高山病との戦いでもある。症状がひどくなれば頭痛がして、唇が紫色になり爪が青くなる。開所以来勤務してきた黄建青(Huang Jianqing)さんは「最も苦しいのは眠る時です。昼間は頑張って我慢できますが、夜は眠れずに寝返りを打つばかりです」と説明した。

 しかし、2021年に観測員になった楊昊(Yang Hao)さんは、「大気の観測は気候変動を記録して世界に貢献することです。すべての努力には価値があります」と、仕事への誇りを語った。

 デルゲル氏は瓦里関観測所の元所長で、14年間勤務したことがある。常に最も心がけたのは人と機器、データの安全だった。「今では登山道が整備され、新しい業務棟や生活棟があります。設備は絶えず更新され、ますます精密になりました」と説明した。

 瓦里関観測所は観測対象を気象全般、酸性雨、エアロゾル、オゾン総量、反応性ガス、太陽放射、温室効果ガスの7分野24項目200種類以上にまで増やした。ほとんどの観測を24時間連続で実施しており、毎日20万件以上のデータが得られる。その温室効果ガス濃度の記録は中国で最も長期間のものだ。

 WMOは、二酸化炭素やメタンなどの測定の質を維持するため、2年ごとに評価を行っている。瓦里関観測所は設立以来、WMOの定める基準を満たしてきた。すなわち、瓦里関観測所の観測の信頼性は、世界の他の観測所と比較することでも確認されている。

 瓦里関観測所の観測に基づき作成された大気中の二酸化炭素濃度を示すグラフは「瓦里関曲線」と呼ばれ、気候変動問題を扱う多くの国際機関が科学評価の根拠として使っている。国家気候センターの巣清塵(Chao Qingchen)主任は、「瓦里関観測所の長期データは、科学者が気候変動をさらに正確に知り、より良く対応するための参考情報です」と説明した。

 WMOによる全球大気監視計画(GAW)の科学指導委員会のグレゴリー・カーマイケル(Gregory Carmichael)委員長は、「GAWのネットワークで瓦里関観測所は重要な役割を果たしています。WMOが新たに提唱した世界温室効果ガス監視プロジェクトでも、瓦里関観測所はさらに大きな役割を果たすでしょう」との見方を示した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News