【5⽉4⽇ Peopleʼs Daily】上海E-Cデジタル・テクノロジー(以下「E-Cデジタル」)は工業の炭素排出量算出に特化した、設立から7年、製品発売から3年足らずのインターネット企業だ。創業時には5人のスタッフしかいなかったが、現在では100人以上に成長した。

 中国は2020年9月に「ダブルカーボン」の目標を明確に打ち出した。中国企業は炭素削減に大いに力を入れるようになった。炭素関連データの精密化は、企業のグリーンモデル転換の基礎部分だが、難題でもあった。

 E-Cデジタルの研究開発チームは工業の現場を深く研究して、製造における最少作業単位を「一つの積み木」にして、その積み木に関連するデータを全て取り込み、各積み木の論理関係も内蔵するソフトを開発した。同社のソフトには、国が公表した24業種の炭素計算方法とモデルが組み込まれており、中でも「積み木LCAクラウド」はすでに、多くの重要企業の炭素データ管理を支えている。操作は簡単で分かりやすく、企業の一般的技術者でも使いこなすことができる。

 上海宝鋼包装は、生産で使うポンプを新たなタイプのものにするかどうかで迷い続けたことがある。新たなタイプは炭素排出を削減できるが高価であり、費用対効果の確証を得られなかったからだ。同社はE-Cデジタルのソフトウエアを導入したことで、新たなタイプのポンプは1日当たり1300キロワット時の電力を節約でき、約1年半後には節約分の電気料金が購入費用を上回るとの試算ができた。同社ではその他でも設備の更新が加速した。

 浙江省(Zhejiang)の安吉県(Anji)は中国最大の事務用いすの生産地だが、多くが中小製造企業であるために、炭素計測の技術チームを設けることができない。第三者に業務を委託すれば高額になり、報告を受けるまでの時間も長い。

 しかし2023年には安吉県の同業界も、製品のライフサイクル全体の炭素排出量を積極的に市場に示すようになった。E-Cデジタルと中央政府の工業情報化部サービス型製造研究院と共同で、安吉県の業者に低コストで高効率の炭素量の計算を提供し、規範に合致した製品の報告書などを示すことを支援したからだ。関連データを示すことで、同県の事務用いす製造企業の競争力は高まったという。

 E-Cデジタルの業務範囲は鉄鋼、電力から非鉄、化学工業、石油化学、電池、新エネルギーなど30以上の業界に広がり、1000社以上に対して精密なデータと「ダブルカーボン」関連の政策に適合するための方法を提供している。

 E-Cデジタルは欧州連合(EU)域外で初めて、EUに認められる炭素量化ツールの提供業者になり、現在では多くの国際的な製造企業から、EU向けの炭素関連情報の開示の問題の解決を支援してほしいとの連絡が入っているという。同社の周晶(Zhou Jing)会長は「私たちの専門性は国際的に認められました」と説明した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News