【4月25日 CNS】中国内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)の画家、魯婷(Lu Ting)さんは、黄河が内モンゴル自治区に流れ込む位置にある烏海市(Wuhai)で生まれ育った。

「黄河の水は北の大地に栄養を与え、私たちに集中力を与えてくれます。子供のころには『母なる黄河』が私たちにこれほど多くのものを与えてくれているとは理解していませんでした」と語る。

 学校の先生に連れられて黄河のほとりで石を拾ったことがある。ゆっくりと流れる河の水。太陽の光を浴びて、水面に顔を出した石がキラキラと輝いていた。

 魯さんが石に絵を描き始めたのは、約20年間の教師生活を経た2016年ごろからだった。

「まず七つの石を拾い、物語を再構成して、最初のシリーズを作成させました」と話す。愛こそが作品の核となるテーマだ。

 少女が窓を開けると、風で花びらを舞い、子供が次第に成長し、母親と寄り添う、温かく抱き合う…。これらの情景が石の上に描かれていく。

 魯さんは絵を描く前に、表現したい人物や動物、植物のキャラクターを定めるために石の「目」を見つける必要があるという。

 鲁さんは、「石には生命が宿っており、対話することができる」という。一つ一つの性格は異なっており、初対面で会話できるものもあれば、話せるようになるまで長い時間がかかるものもあるという。

 それゆえに、黄河の石を使った絵には、5~6日ですむこともあれば、1年かかるものまであるという。

「私が黄河の石について最も感じるのは、中国人の女性や母親の力強さや美しさです」と魯さんはいう。彼女自身も母であり、娘だったこともある。魯さんは、さまざまな個性を持つ中国女性のイメージを表現した黄河石画の作品「小秋風」シリーズを制作している。

「私は黄河の石に出会えて幸運です。黄河の石とても自由です。白い紙よりも優れているとさえ思います」と魯さん。

 魯さんは2018年に烏海市海南区(Hainan)に自身のアトリエ「黄河石画工作室」を設立した。

「私には、地元の民俗風習に沿って、黄河の石を使って楽しい物語を伝えるという夢があります。この場所で私が育ったことはとても幸運でした。これからも幸せな物語を伝えるために黄河の石を使っていきたい」(c)CNS/JCM/AFPBB News