【4月23日 AFP】世界有数の観光地イタリア・ベネチア(Venice)市は25日から、旧市街への入場料の徴収を試験的に開始する。同市ではオーバーツーリズム問題が指摘されており、繁忙期の観光客数を抑制する狙いがある。

 対象は午前8時30分から午後4時の間に旧市街を訪れる日帰り観光客で、料金は5ユーロ(約800円)。チケットはQRコードの形で発行され、当面は1日当たりの販売数に上限を設定しない。

 監視員がサンタルチア(Santa Lucia)駅など旧市街の主要な玄関口でチケットの有無を抜き打ち検査し、持っていない場合はその場で購入を勧められる。ホテルに宿泊している観光客、14歳未満の子ども、身体障害者などは免除される。

 今年のチケット発行は5月から7月にかけてほぼ毎週実施するが、観光客の多い週末に限られるため、影響があるのは29日間のみとなる。

 ベネチアのルイージ・ブルニャーロ(Luigi Brugnaro)市長は今月、旧市街への入場料について「実験かつ世界初の試み」で、「ベネチアをより住みやすい街にすること」が目的だと述べた。

 国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産に登録されている「水の都」ベネチアの旧市街では、5万人の人口に対し、2022年には延べ320万人が宿泊した。

 ユネスコでは昨年、過剰な観光客数と気候変動による水位上昇を理由にベネチアを「危機遺産」に指定する案が取り沙汰されたが、自治体側が入場料導入に合意したため、その不名誉は免れた。(c)AFP/Gildas LE ROUX