【4月22日 AFP】中国政府は22日、2021年東京五輪の前にドーピング検査で、陽性が発覚した同国の競泳選手23人が五輪に出場していたとの報道を「フェイクニュース」だと断じた。

 水泳界を揺るがしたこの件では、国内大会の検査で23人に禁止されているトリメタジジン(Trimetazidine)の陽性反応が出たが、世界反ドーピング機関(WADA)は、選手たちがトリメタジジンの混入した食べ物から意図せず同物質を摂取したという中国側の調査結果を受け入れ、処分は下さなかった。

 23人の中には金メダルを含むメダリストもいると報じられ、その多くは今夏のパリ五輪でも上位を争うことが予想されている。

 中国外務省はこの日、20日に米紙ニューヨーク・タイムズと独公共放送ARDが報じた件に反発。同省の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は、「関連報道はフェイクニュースであり、事実ではない」と述べた。

 汪氏は「WADAは非常に明確な回答を出していることも、ご承知のことと思う」 とコメント。WADAは中国側の見解を覆すほどの「信頼に足る証拠を欠く」ことを理由に、特定の措置は講じていない。

 汪氏によると、中国の反ドーピング当局はこの件について「詳細かつ綿密な」調査を行い、選手たちが「知らないうちに」汚染された薬物を摂取していたことを突き止めたという。「関与した中国の水泳選手たちには過失や非はなく、彼らの行為はドーピング違反には当たらなかった」と述べ、「WADAが中国反ドーピング当局の調査結果を支持した」と続けた。

 一方で、中国水泳協会(CSA)と長年仕事をしている豪競泳指導者のデニス・コッテレル(Denis Cotterell)氏も、国家規模の組織的なドーピングだとの意見に反論しており、「私の見てきた限り」そうした事実はないと断言。この日公開されたシドニー・モーニング・ヘラルド紙のインタビューでは、「組織的なものだったというあらゆる推測」を否定した。(c)AFP