米テキサス州のテイラー工場の様子=サムスン電子(c)MONEYTODAY
米テキサス州のテイラー工場の様子=サムスン電子(c)MONEYTODAY

【04月22日 KOREA WAVE】米政府が韓国サムスン電子に支給することにした64億ドル(約9兆ウォン)の補助金は、当初の市場予想である20億~30億ドルを倍以上も上回る水準だ。サムスン電子は補助金でファブ(工場)建設と追加投資に対する費用負担を減らすことになった。NVIDIAとアップル、AMDなどグローバルビッグテック顧客会社に近づくという物理的側面とともに、米政府の支援を追い風に事業拡張に弾みがつくという評価が出ている。

サムスン電子の補助金はインテル(85億ドル)やTSMC(66億ドル)より少ないが、投資金額との比率からみれば最も高い。競合企業より少ない投資額でも同規模の補助金を受けられるのは、それだけ米側の期待が大きくことを反映されたものと解釈される。半導体業界関係者は多額の補助金について「サムスン電子の技術競争力と事業構造などを総合的に評価し、米国の半導体産業が大きな利益を得られると判断したため」と話した。

サムスン電子はインテル(110億ドル)、TSMC(50億ドル)とは違って、米政府が提供する低利融資の支援は受けない。昨年末時点で約79兆6900億ウォン(1ウォン=約0.11円)に達する現金性資産を保有しているうえ、今年の実績改善が期待されるため、十分な投資余力を備えたという判断だ。業界関係者は「進行中の平沢(ピョンテク)への投資はもちろん、米国での投資も成功させられるという自信が反映されたものだ」と話した。

サムスン電子は補助金を呼び水として米国での事業の拡大に弾みをつけたいという構想だ。2022年に着工したテイラー工場(米テキサス州テイラー)の進捗率は昨年末時点で59.7%だ。インフレで費用負担が増え、タイムリーな竣工に苦労しているものの、補助金を受けられれば遅延の懸念を最小限に抑えることができる。予定通り工事が進めば、テイラー工場に導入する4ナノプロセスの量産時期が早まる可能性がある。

工場の稼動が軌道に乗れば、主要顧客会社との地理的距離が近づく。メタやNVIDIAなどのビックテックメーカーはもちろん、テスラやアップルなどのセット(完成品)メーカーまで、すべて本社は米国にある。5GやHPC(高性能コンピューティング)、AI(人工知能)など先端産業分野で顧客のニーズに合わせて迅速に対応できる。

半導体業界は、補助金が、米国の拠点を拡大し、技術競争力をさらに引き上げる契機になり得ると見ている。高帯域幅メモリー(HBM)やコンピュータエクスプレスリンク(CXL)、知能型半導体(PIM)などは最近、米国で需要が急増している分野であり、拠点拡大が受注増加-大型投資につながる好循環構造を構築することができる。サムスン電子のキョン・ゲヒョン代表取締役社長も最近の株主総会で「CXLとPIMは、まもなく目に見える成果を出せるだろう」と話している。

業界は韓国-米国の「ツートラック」投資を足がかりに、最先端の工程キャパ(生産能力)拡大に積極的に取り組む時期だと判断している。サムスン電子の内部事情に詳しいある業界関係者は「米国はDR5、LPDDR5x、HBM3など高付加価値・大容量製品の需要が最も高い市場だ。平沢・テイラー工場を軸に、米市場の需要にタイムリーに対応できるよう成長エンジンを確保することが重要だ」と指摘する。

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