新韓・ザ・モア・カードの製品写真=新韓カード提供(c)news1
新韓・ザ・モア・カードの製品写真=新韓カード提供(c)news1

【04月22日 KOREA WAVE】韓国最大のクレジットカード会社「新韓カード」が2020年1月に発売した「ザ・モアカード」。5000ウォン(1ウォン=約0.11円)以上の決済時、1000ウォン未満の端数をポイントとして積み立てられる仕組みだ。一度の決済で最大999ウォンのポイントを貯めることができるとあって、一部消費者の間では「ザ・モアカードポイント獲得」競争が流行したこともある。

だが、大量のカード発行と999ウォンのポイント積み立てで「カード会社と使用者」双方が満面の笑みを浮かべた良き時代は長くは続かなかった。ザ・モアカードで数十回ずつ5999ウォンを決済し、不正に999ウォンを積み立てていく消費者が相次いで現れ、ザ・モアカードの収益が悪化し始めたのだ。

昨年12月には薬剤師とその知人らからなる890人のザ・モアカード利用者がカードを不正使用したと疑われる事例が発見されたこともあった。

A薬局のオーナーがB薬局で、B薬局のオーナーがA薬局で毎日5999ウォンずつ決済▽特定の製薬卸売モールなどで10人ほどの顧客が毎日5999ウォンずつ決済▽薬剤師1人が1カ月に100万ウォンを超えるポイントを積み立てた――などの事例が相次いだ。

海外決済の不正も流行のように広まった。海外で決済する場合、キャッシュバックポイントを2倍チャージするという特典を利用し、決済金額を最大限度に増やして利益を得ることになる。海外ショッピングモールのアマゾン、Qoo10(キューテン)などで、5999ウォンに相当するギフトカードやショッピングコインを最大30回に分けて決済する手口で、1カ月に50万ウォンを超えるポイントを獲得したというレビューもあった。

こうした不正が相次いだため、新韓カードはザ・モアカードだけで1000億ウォン台の損失を被ったという。カードを発行するほど赤字が雪だるま式に増えたためだ。

新韓カードは2021年12月、「新規発行停止」の方針を打ち出した。それまでの利用者は残りの有効期限まではザ・モアカードを利用することができる。その利用者は現在、38万人ほどだ。

結局、新韓カードは昨年5月、金融監督院に、不当決済を規定してポイント獲得から除外するようにし、ポイントを回収できるよう約款変更審査の事前協議を申請した。

さらに最近、金融監督院が約款変更審査を承認し、ほぼ1年で約款変更が許可された。新韓カードは今月15日、ザ・モアカードの約款を変更し、消費者に案内した。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News