【4月19日 CNS】「王婆説媒(王ばあさんが仲人をする)」が、古都の開封市(Kaifeng)でネットをにぎわせている。

 3月末から4月初めにかけて、河南省(Henan)開封市にある万歳山・大宋武侠城というテーマパークで行われたお見合いイベント「王婆説媒」は、オンラインとリアルの両方で人気を集め、地元の文化観光産業に大きな活況をもたらした。

 河南省社会科学院文学研究所(黄河文化研究所)の李立新(Li Lixin)所長によると、「王婆」の活躍により、開封市の文化観光の人気は94パーセントも向上し、省全体の観光業も大きな盛り上がりを見せ、「清明節」(先祖を祭る中国の伝統的な祭日、今年は4月4日)の休暇期間中の予約数は前年比582パーセントもの増となった。

「王婆説媒」のイベント現場は、特に若者を中心に人びとでにぎわい、「王婆」役の趙梅(Zhao Mei)さんは、その巧みな話術、演技力、群衆をまとめる能力、そしてユーモアと機知に富んだキャラクターで若者たちから高い評価を受けている。

 では、なぜ「王婆説媒」は一夜にして爆発的な人気を博したのか?

 李所長によると、2010年に著名な経済学者である厲无畏(Li Wuwei)氏が、河南省の豊かな歴史文化資源を背景に、「予見的な」答えを提示していた。それは、まずシーンを再現し、ファッション要素を取り入れること、次に物語をうまく作り上げ、歴史を活性化させること、そしてシンボルを抽出し、ブランドを築くことの三点だ。

 李所長は、「王婆説媒」はこれら三つの要素を兼ね備えており、その人気は偶然でもあり必然でもあると述べている。「王婆説媒」は演芸プロジェクトであり、中国古代の女性が刺しゅう入りの手まりを二階から投げて夫を選ぶシーンを再現している。趙さんの洗練された話術、ベタな愛のささやき、エネルギッシュな歌と踊り、親しみやすい愛称、そして刺激的なステージが若者たちの心を捉え、没入型の体験が多くの若者を魅了している。

「映画やドラマの『水滸伝(英題:Water Margin)』に登場する「王婆」のイメージを一新し、宋代の歴史に新たな息吹を吹き込んだ」と、李所長は述べている。「王婆説媒」は、中国の『四大奇書』の一つ『水滸伝』に登場する広く知られた物語を上手く活用しているが、その中の悪役を新たな視点で描き直し、舞台上の「王婆」は愛情深く、熱意と誠実さを持ち、ユーモアと機知に富んだキャラクターで、ポジティブなエネルギーを放っている。

「『王婆説媒』は長年の積み重ねの成果だ」と、李所長は述べている。20年前から、河南省は「宋代の文化」を重要な文化資源として育成してきた。「王婆説媒」は既に6年続いており、開封市の文化観光業界は宋代の文化のシンボルを磨き続け、長期にわたって文化観光ブランドを築いてきた。李所長は、上述の三つの要素が「王婆説媒」の人気の主な理由であり、デジタル技術の活用とネットワークの火付け役がその人気を加速させたと語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News