【4月17日 AFP】女子スポーツにおけるトランスジェンダーの選手の受け入れについて、大半の女子選手は、競技者間で接触を伴うコンタクトスポーツや持久系スポーツでは性自認ではなく、生物学的な性によるカテゴリー分けを支持するとの調査結果が16日、英スポーツ科学専門誌「ジャーナル・オブ・スポーツ・サイエンス(Journal of Sports Sciences)」で発表された。

 英国のスウォンジー大学(Swansea University)と英マンチェスター・メトロポリタン大学(Manchester Metropolitan University)のスポーツ研究所による調査に参加したのは、国内外の現役、または引退した女子選手で、世界大会出場選手や代表選手といった一流選手ら175人。この中には26人の世界チャンピオン、22人の五輪選手(うち金メダリストは2人、銀2人、銅3人)、6人のパラリンピアンが含まれた。調査規模は過去最大とされた。

 調査では、アーチェリーなどの精密さを競うスポーツを除き、トランスジェンダーの女性が女子種目に出場するのは不公平だと思うとの回答が58%となった。世界大会出場クラスの選手では、その割合は77%に上った。

 一方で、全回答者の81%がトランスジェンダーの選手の受け入れを改善する必要があると答え、運営組織が多様性の受け入れと公平性を両立させる際のバランスの難しさが浮き彫りになった。

 一方で、この調査では、選手が携わっているスポーツ、競技レベル、キャリアの段階によって意見が異なることも明らかになった。

 五輪出場選手の場合、生物学的な性でカテゴリー分けするべきだと答えた割合は、引退した選手で83%、現役選手では64%に上った。一方、国際的な競技連盟が国際オリンピック委員会(IOC)に承認されてはいるが、現在は五輪種目に選ばれていない競技の選手では、その数字は32%にとどまった。

 論文は、「エリート選手や世界大会クラスの選手が(生物学的な性による)女子カテゴリーにこだわるのは、トランスジェンダーの人々への否定的な考えからではなく、公平な競争や勝利する能力の追求によるものである可能性が高い」と指摘。「こうした考えは、トランスジェンダーの選手の受け入れは大切だが、トップレベルのスポーツ選手には公平さが優先されなければならないという表れ」だとしている。(c)AFP