【4月16日 AFP】米ニューメキシコ州の裁判所は15日、米俳優アレック・ボールドウィン(Alec Baldwin)さんが、主演映画の撮影中に小道具の銃を誤射して撮影監督が死亡した事件で、銃に実弾を装填(そうてん)した担当者に禁錮1年6月を言い渡した。

 事件は2021年、同州で行われていた西部劇『ラスト(Rust、原題)』の撮影現場で起きた。ボールドウィンさんが持っていた拳銃から実弾が発射され、撮影監督のハリーナ・ハッチンス(Halyna Hutchins)さんが死亡、ジョエル・ソウザ(Joel Souza)監督が負傷した。

 10日間にわたる公判では、武器担当者のハンナ・グティエレスリード(Hannah Gutierrez-Reed)被告(26)が、安全規則にたびたび違反していたとされる問題について審理された。

 検察は量刑審問で「ハッチンスさんが亡くなったのは、被告が撮影現場に実弾を持ち込み、小道具の銃に装填し、弾丸は入っていないとスタッフに伝えた、という一連の安全基準違反が原因」と主張。

 さらに、被告は有罪判決を受けて以降、不当な扱いを受けたと訴える電話を拘置所から200回前後かけ、「責任を認めず、自身に不利な証言をした証人や私たち、陪審員、ハッチンスさんの救命を試みた医療従事者らに責任転嫁しようとした」とし、「無責任で、反省の色もない」と批判した。

 グティエレスリード被告は泣きながら、自分だけのせいではないと主張。「『ラスト』を担当した時は若く、世間知らずだった。それでも、時間も資金もスタッフの数も不十分な中で私なりに一生懸命仕事に取り組んだ」と訴え、実刑ではなく保護観察を求めた。

 しかし判事は、反省していないとして訴えを退けた。

 主演俳優でプロデューサーも務めていたボールドウィンさんも過失致死罪に問われており、7月に公判を控えている。有罪になれば、同じく禁錮1年6月を言い渡される可能性がある。(c)AFP/Huw GRIFFITH