【4月15日 AFP】オーストラリア・シドニーの商業施設で刃物を持った40代の男が買い物客らを襲い、6人を殺害、8人を負傷させた事件で、警察は15日、男が女性を狙っていたようだとして捜査を進めていると発表した。

 この事件で殺害された6人のうち5人は女性で、負傷者の大半も女性だった。

 SNSでは、大勢の買い物客でにぎわうウェストフィールド・ボンダイ・ジャンクション(Westfield Bondi Junction)の商業施設で、無精ひげを生やしたジョエル・カウチ(Joel Cauchi)容疑者が女性たちを追いかける様子を捉えた動画が拡散されている。

 ニューサウスウェールズ(New South Wales)警察のカレン・ウェッブ(Karen Webb)本部長は豪公共放送ABCに対し、動画を見れば「(容疑者が)女性を狙い、男性を避けたのは明らかだ」と語った。

 フェイスブックのプロフィルによるとカウチ容疑者はブリスベン近郊トゥーンバ(Toowoomba)出身で、地元の高校と大学に通った。両親によれば10代の頃から精神的な問題に悩まされていた。

 容疑者の父のアンドリュー・カウチ(Andrew Cauchi)氏はクイーンズランド州の自宅前で報道陣の取材に応じ、「心を痛めている」と述べ、「精神疾患が分かってからは、息子を支えるために全力を尽くした。亡くなった方々を生き返らせることは私にはできない。大変申し訳ない」と語った。

 また、女性を主に襲ったのは「ガールフレンドがほしかったのに、社会性がなくて失望していたから」だと考えていると語った。

 約30分間にわたって続いた凶行は、単独で追跡した警官が容疑者を射殺し、幕が引かれた。

 容疑者は車とホステルで生活し、家族とはテキストメッセージで時々連絡を取っていただけだったと両親は語った。

 今後は犯罪捜査に加え、容疑者と州保健当局との過去のやりとりも調査されるという。(c)AFP/Laura CHUNG