【4月12日 AFP】イスラエルは11日、宿敵イランが在シリア大使館に対する空爆の報復を警告している事態を受け、警戒態勢を強化している。ガザでの武力衝突だけでなく多正面で緊迫した状況に置かれた形だ。

 イスラエル軍は1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館領事部を空爆。この攻撃で、将官2人を含むイラン革命防衛隊(IRGC)7人が死亡した。

 これに対し、イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師の軍事顧問は、各国のイスラエル大使館は「もはや安全ではない」と警告。ハメネイ師自身も10日、イスラエルは「罰せられねばならないし、罰せられるだろう」と警告した。

 イラン側の警告を受け、イスラエルのイスラエル・カッツ(Israel Katz)外相はX(旧ツイッター)に「イランが自国領から攻撃するならば、イスラエルは反撃し、イランを攻撃する」と投稿。イランの動きをけん制した。

 米国防総省によると、米中央軍のマイケル・クリラ(Michael Kurilla)司令官は11日にイスラエルを訪れ、ヨアブ・ガラント(Yoav Gallant)国防相と状況を協議した。

 米ホワイトハウス(White House)のカリーヌ・ジャンピエール(Karine Jean-Pierre)報道官は会見で「われわれはイランに警告した」と述べた。ただ、詳細については語らなかった。在イスラエル米国大使館は、安全保障上の懸念から外交官の移動を制限すると発表した。

 一方、イスラエル中部の空軍基地を視察したベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、多正面化による「困難な時代」だと発言。首相府を通じた声明では「わが国はガザ紛争のただ中にあり、今もそれに全力を挙げている。しかし、違う方向からの挑戦に立ち向かうシナリオも準備している」と述べた。

 ロシアはイランとイスラエル双方に自制を求めている。

 イランのホセイン・アミール・アブドラヒアン(Hossein Amir-Abdollahian)外相は、11日に英独オーストラリアの外相から電話を受けたことを明かした。

 同氏のXへの投稿によると、電話をしてきた各国外相に対しては「シオニスト政権が外交特権や外交施設の不可侵を破り」、国連安全保障理事会(UN Security Council)がそれを非難しないのならば「正当防衛が必要だ」と伝えたという。(c)AFP/Belal AlSabbagh, Jay Deshmukh in Jerusalem