【4月12日 AFP】米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の殿堂入り選手で、1995年に元妻と友人男性の殺人事件で無罪評決を受けたO・J・シンプソン(O.J. Simpson)氏が10日、死去した。76歳。11日に遺族が発表した。

 貧困の中で育ったものの、エリート選手として成長したシンプソン氏は大学のアメリカン・フットボール選手としてスターダムに上り詰めると、NFLでは1973年に最優秀選手(MVP)に選出された。現役引退後は俳優などとして人気をさらに高め、広告出演により米国内で最も著名な黒人の一人となった。

 しかし、ロサンゼルス郊外で元妻のニコール・シンプソン(Nicole Simpson)とその友人ロナルド・ゴールドマン(Ronald Goldman)さんが殺害された後、その名声は悪名に変わった。

 シンプソン氏は9か月にわたった裁判を経て1995年10月に無罪評決を獲得したが、さまざまな紆余(うよ)曲折を見守ってきた多くの米国人に信じられないという思いで迎えられ、「世紀の裁判」とも呼ばれた。その後、シンプソン氏は1997年の民事訴訟で殺害の責任が認められ、犠牲者遺族への多額の損害賠償を支払うよう命じられている。

 またシンプソン氏は2007年に起こした強盗事件により約9年間服役し、2017年に釈放されていた。

 遺族はX(旧ツイッター)に「私たちの父、オレンタール・ジェームス・シンプソンはがんとの闘いで亡くなった。子供たちや孫たちに囲まれていた」などと記している。

 シンプソン氏は、前立腺がんと闘病していたと伝えられている。(c)AFP