【4月12日 AFP】米大リーグ(MLB)、ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)でプレーする大谷翔平(Shohei Ohtani)選手の元通訳、水原一平(Ippei Mizuhara)容疑者(39)に関する司法当局の捜査では、借金が積み重なる中で詐欺師に変貌する、強欲なギャンブラーの姿が浮き彫りになった。

 長年にわたって大谷選手の通訳を務めていた水原容疑者は11日、違法賭博の借金返済のために同選手の銀行口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上を不正送金した銀行詐欺の容疑で訴追された。

 ロサンゼルスで申し立てられた連邦検察の訴状には、水原容疑者が2021年12月から24年1月にかけて1回平均1万2800万ドル(約195万円)の賭けを約1万9000回も繰り返し、合計約4070万ドル(約62億円)の損失を出していたという驚がくの内容が記されている。

 また、水原容疑者とブックメーカーのメールのやり取りでは、借金が膨らむあまりに首が回らなくなっている同氏の様子が示されていた。

 水原容疑者はメールで胴元に、信用で賭けられる上限額の引き上げを意味する「バンプ」を要求していた。

 2022年11月のメールでは、「ブックメーカー1」という1人の男に「自分はスポーツベッティングが苦手なんだ(笑)… またバンプしてもらえるかな? 知っての通り、自分には支払えないという心配は必要ない!!」と記しており、その翌月、さらには2023年6月にも増額を要求していた。

 しかしながら、2023年11月にはブックメーカーがしびれを切らしていることが明白となった。

 ブックメーカーは1通のメールで、大谷選手がカリフォルニア州ニューポートビーチ(Newport Beach)の自宅近くで犬と散歩しているのを見ていることを示唆し、「やあ、イッペイ。今は金曜日の2時だ。なぜ折り返し電話をくれないのかな?」「今ニューポートビーチにいる。(大谷選手が)犬の散歩をしているのが見える。彼の所へ行って話しかけて、君が電話に出ないのでどうすれば連絡が取れるか聞いてみようか? すぐにかけ直してくれ」と催促していた。

 ブックメーカーは今年の1月にも、水原容疑者が「制御不可能」な状況に陥る危険があると警告していた。

 一方で水原容疑者は同3月、大谷選手が同氏から大規模な窃盗被害に遭ったと主張している報道を見たかどうかブックメーカーに尋ねていた。ブックメーカーは「見たが、あんなの全部でたらめだ」と返信し、「君は彼から盗んでいなかったはずだ」と確認していた。

 しかし、水原容疑者は「厳密に言うと彼から盗んだ」と返し、「自分は一巻の終わりだ」と明らかに罪を認めていた。(c)AFP