【4月10日 AFP】欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表(外相)は9日、西側諸国はウクライナがロシアの攻撃から国土を防衛するのに不可欠な防空システムを十分提供できていないと指摘した。

 ボレル氏によると、ウクライナ政府は西側の同盟諸国に対し、米国製の地対空迎撃ミサイルシステム「パトリオット(Patriot)」7基の至急供与するよう求めている。

 同氏は「西側諸国がパトリオットを約100基保有していることを考えれば、7基を供与できないとは想像できない。だが、われわれはいまだ、ウクライナが切実に求めている7基を提供できていない」と述べた。

 北大西洋条約機構(NATO)加盟国は先週、ウクライナのドミトロ・クレバ(Dmytro Kuleba)外相にパトリオットの供与を要請され、防空システムの追加供与を検討すると約束した。

 ボレル氏は、今月ルクセンブルクで開かれるEU外相・国防相会合で、ウクライナへの防空システム追加供与を再度要請する意向を示した。

 欧州諸国は第2次世界大戦(World War II)以降、自国の安全保障の確保をNATOの枠組みにおける米国との同盟に大きく依存してきた。だが、11月に行われる米大統領選で孤立主義者のドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が再選されれば、これまで通り米国を頼れるとは限らないとの懸念が高まっている。

 ボレル氏は「東西冷戦(Cold War)時もその後も、われわれは米国の傘に守られてきたが、その傘が常に開いているとは限らない」「ワシントンを牛耳るの人物次第では、欧州を防衛する上で米国の支援や能力に頼れなくなるかもしれない」「われわれは共有する能力を構築しなければならない」と述べた。(c)AFP