【4月14日 CGTN Japanese】中国南西部の大都会である重慶市では、毎朝6時ごろになると、地下鉄4号線の石船駅の出入り口に「特別な乗客」の一行が現れます。新鮮な野菜がいっぱい入ったかごを背負ったり、てんびん棒で担いだり、かごを小さなカートに固定したりする人々。この地下鉄路線は「かご専用線」という愛称で親しまれています。

 同市渝北区石船鎮葛口村に住む馮忠福さんとその妻は、3ムー(約0.2ヘクタール)の畑で、オレンジのほか、季節の野菜も育てています。老夫婦は夕方になると、野菜をかごに入れ、市場に売りに行く準備をします。野菜を売ることについて、子どもらは支持していないとのことですが、農作業を続けてきた2人は休んでいられません。かんきつ類の年間生産量は4000~5000キロです。果物は売らなければ畑で腐ってしまうため、老夫婦にとって、もったいないという思いのほか、家計の助けにもなるとの思いもあります。

 老夫婦は、地下鉄が開通するまでは石船鎮や近くの鎮にオレンジを売りに行っていました。その当時は、オレンジを担いで4キロの距離を1時間以上歩いて行っても、思うように売れず、多くが腐ってしまいました。ですが、今年1月以降は、業者が買い付けに来てくれるほか、毎日地下鉄に乗って売りに行くなどし、これまでに4000キロ余りのオレンジが売れ、残りはわずか1000キロほどだということです。

「かご専用線」の開通は、馮さん夫婦のような野菜を売りたい農家に利便性をもたらしています。地下鉄4号線はさらに、標準語をあまり話せない野菜農家の需要に応じて、野菜農家の利用が多い2駅を試験駅とし、方言によるアナウンスも行っています。 (c)CGTN Japanese/AFPBB News