【4月9日 CNS】「清明節」(先祖を祭る中国の伝統的な祭日、今年は4月4日)期間中、江蘇省(Jiangsu)南通市(Nantong)で紙銭の製造・販売が禁止されることが議論を呼んでいた。

 3月26日、江蘇省南通市の民政局と市場監督管理局は、「封建的迷信による葬儀用品の製造・販売禁止」に関する通告を発表し、市全体でいかなる組織や個人も冥銭紙銭や紙製の実物などの封建的迷信による葬儀用品の製造・販売を禁止するよう要求した。

 実際、同様の議論は以前から他の地域でも発生しており、封建的迷信による葬儀用品をどのように定義するかは、一部の市民の不満を引き起こす問題となっている。

 一部の地域では、冥銭紙銭を封建的迷信の葬儀用品として製造・販売を禁止する対象に含めているが、市民の中にはこれらをただの祭祀の伝統的な祭具と考え、封建的迷信とは考えていない人もいるようだ。

 南通の件について、「中国の法律では紙銭の販売禁止が明確に規定されていない」というエントリーが人気検索ワードに上がった。

 記者が調査したところ、国家レベルでの葬儀業界の管理については、「葬儀管理条例」が唯一の指導文書であり、まだ明確な法律が制定されていないことが判明した。

 実際の運用においては、各地域の実情や風俗習慣が異なるため、多くの地方規定では「封建的迷信の葬儀用品」についてより明確な規定がなされている。

 例えば、2023年に天津市(Tianjin)北辰区(Beichen)双口鎮政府は通告を出し、その中で、封建的迷信による葬儀用品を具体的に列挙した。これには、冥銭・紙銭などの「金銭」類、紙製の牛や馬、車などの「交通手段」類、紙人形や紙製のテレビ、箱などの「生活用品」類が含まれる。

 ただし、一部の地域では統一された基準がなく、葬儀業界の混乱を収めることが難しくなっているようだ。

 中国葬儀協会の元事務局長で、全国葬儀標準化技術委員会の事務局長、北京社会管理職業学院(民政部研修センター)の教授、孫樹仁(Sun Shuren)氏は取材で、「現代社会では文明的かつ安全、低炭素での祭祀を推奨しており、花を捧げる、木を植えて追悼する、メッセージを書く、インターネットで追悼するなどの現代的で文明的かつエコな祭祀の方法を提唱している」と述べている。

 孫氏は二つの提案を出している。一つは、葬儀の法制化を強化し、管理プロセスに法の拠り所を得ることができるようにすることだ。もう一つの提案として、文化建設を強化し、市民が新たな葬儀の礼儀を徐々に認識し、受け入れるようにすることで、故人が安らかに眠り、葬儀の礼が尽くされることを訴えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News