【4月2日 AFP】英スコットランド議会は1日、トランスジェンダーの人々を含む特定の集団への憎悪をあおる行為を犯罪と見なす新法を施行した。同法をめぐっては、ファンタジー小説「ハリー・ポッター(Harry Potter)」シリーズで知られる英作家J・K・ローリング(J.K. Rowling)氏らが非難するなど、論争を呼んでいる。

 スコットランド議会で2021年に可決された「ヘイト・クライム(憎悪犯罪)公共秩序(スコットランド)法」は、憎悪犯罪に関する既存の法律を統合し、新たな違法行為を追加。年齢、障害、人種、宗教、性的指向に加え、性自認をめぐる憎悪犯罪からの保護を掲げている。

 しかし、リシ・スナク(Rishi Sunak)英首相は「生物学上の単なる事実を指摘」するだけで罰せられるべきでないとの考えを表明。「保守党はこれからも言論の自由を守る」との声明を保守系紙デーリー・テレグラフで発表した。

 また、以前から特にスコットランドで性自認をめぐる権利運動の多くに異議を唱えてきた作家のローリング氏も、言論の自由などの観点から同法を激しく非難している。

 ローリング氏は、特に新法では保護対象とされる集団に女性が含まれず、女性や少女の保護という観点から追加された項目がないと批判する長文のメッセージをインターネット上で発表。

「女性や少女のための専用スペースをなくす危険性を訴えている私たちを黙らせようとする活動家によって、(この法律は)いくらでも悪用され得る」「私は現在国外にいるが、私がここに書いた内容が新法で犯罪に該当するなら、スコットランドに戻った際に逮捕してほしい」と記した。

 スコットランド政府は、新法は「21世紀にふさわしい」保護を確保するものだと主張。一方で、将来的にはミソジニー(女性蔑視)への取り組みを目的とした新法を導入すると約束している。(c)AFP