【3月31日 AFP】サッカースペイン3部リーグで30日、GKが人種差別的な暴言を浴びたチームがプレー続行を拒否し、試合が中止になる騒動があった。また同日には1部リーグでも、セビージャ(Sevilla FC)の監督と選手が差別発言の標的となった。

 騒動が起こったのは3部のセスタオ・リーベル・クルブ(Sestao River Club)対ラージョ・マハダオンダ(Rayo Majadahonda)の試合で、84分にマハダオンダのセネガル出身のGKシェイク・カネ・サール(Cheikh Kane Sarr)がゴール裏のサポーターと対立した後、退場を宣告された。するとチームはプレーを続行しないことを決め、試合は後に中止となった。

 また同日には、1部のヘタフェ(Getafe CF)対セビージャ戦で、セビージャのキケ・サンチェス・フローレス(Quique Sanchez Flores)監督とマルコス・アクーニャ(Marcos Acuna)が「人種差別的、外国人嫌悪的な暴言」を浴び、クラブがこれを非難している。審判のリポートによれば、アクーニャは「サル」や「サル出身」と呼ばれ、試合は一時中断。またフローレス監督は、一部の観客から「ジプシー」と呼ばれたと明かしている。

 スペインでは数日前、レアル・マドリード(Real Madrid)のブラジル代表FWビニシウス・ジュニオール(Vinicius Junior)がここ数シーズンで何度も人種差別の標的になっていることを受け、差別との闘いの一環としてスペイン対ブラジルの親善試合が行われたばかりだった。

 ビニシウスは自身のX(旧ツイッター)に、「30日だけで、スペイン国内で3件の卑劣な人種差別があった」とメッセージを投稿し、アクーニャとフローレス監督へのサポートを申し出た。

 ビニシウスは「ラージョ・マハダオンダとサールへ、あなたたちの勇気が他の人々の励ましになることを願っている。差別主義者は見つけ出し、彼らがスタンドにいるうちは試合を続けてはならない」と述べ、「差別主義者がスタジアムを去り、彼らにふさわしい場所である牢屋(ろうや)に向かって初めて、僕らは勝利を得られる」と話している。

 ビニシウスは昨年5月、今回のサールと同じようにバレンシア(Valencia CF)とのアウェーゲームで差別を受けて客席のサポーターと言い争った。この件では、世界中からビニシウスを支持する声が寄せられている。

 マハダオンダの主将ホルヘ・カサード(Jorge Casado)は自身のインスタグラムで、「きょうは非常に残念な出来事があった。チームメートのシェイク・サールが、肌の色を理由にスタジアムの一画から人種差別的な侮辱を受けた」と明かし、「その上、スペインサッカー連盟(RFEF)はわれわれに試合を最後までプレーさせようとした」と続けた。

「恥ずべき出来事だし、今はもう2024年だというのに、スタジアムに見境のない愚かな連中がいるのはとんでもないことに思える。われわれは皆シェイクと共にあり、人種差別にノーと言う」 (c)AFP/Rik Sharma