【3月30日 AFP】メキシコ南部ゲレロ(Guerrero)州タスコ(Taxco)市で、8歳の少女を殺害したとされる容疑者の女が暴徒によるリンチ(私刑)で撲殺された。

 事件が起きたタスコは、スペイン植民地時代の街並みやシルバーアクセサリー工房で知られる人気観光地。現地メディアが親族の話として報じたところによると、少女が27日に行方不明になった後、家族に身代金を要求する電話があった。

 これに先立ち、容疑者の女1人と男2人が車のトランクに黒い袋を積み込む様子を捉えた防犯カメラの映像が拡散し、中身は少女の遺体なのではないかとの臆測が広がった。

 3人の居場所が特定されると、正義の執行を求めて暴徒化した人々が3人を家から引きずり出し、棒で殴打。女は死亡、男2人は市内の病院に入院した。

 メキシコで誘拐や殺人は日常茶飯事だが、大半の被害者は成人男性であるため、幼い少女の殺害事件に衝撃が広がっていた。

 同国では、容疑者に対するリンチも頻発しており、専門家は、犯罪が多発する一方で容疑者が処罰されないとの認識が広がっていることと関連付けている。

 州検察当局は、少女の死をフェミサイド(女性や少女を標的とした殺人)、リンチを条件付きの殺人として扱っている。(c)AFP