【3月30日 AFP】フランスの学校でイスラム教徒の女子生徒に頭髪を覆うスカーフ「ヒジャブ」を脱ぐよう求めた校長が殺害予告を受けて辞職した件を受け、同国最大の学校長組合は29日、世俗主義(政教分離)について「引き下がらない」考えを示し、辞職した校長を擁護した。

 パリ東部20区にあるモーリス・ラベル(Maurice Ravel)高校で先月、校長が女子生徒に対し、校内ではヒジャブを脱ぐよう求めたところ、拒否され口論になった。その後、校長はネットで殺害予告を受け、今週辞職した。国内に反発が広がり、ガブリエル・アタル(Gabriel Attal)首相が、政府として教師および同国の教育の重要な柱である世俗主義を保護する方針を表明する事態に発展していた。

 29日には、社会党の呼び掛けの下、同校前で集会が開かれ、パリのエマニュエル・グレゴワール(Emmanuel Gregoire)副市長ら、政治家や学校長組合の関係者らが参加した。

 その後の会見で仏最大の学校長組合「SNPDEN-Unsa」のブルーノ・ボルトキエビッチ(Bruno Bobkiewicz)書記長は、「われわれは絶対に引き下がらない」と主張。「交渉の余地はない。要するに世俗主義に関する問題に他ならない。この問題について譲歩することはあり得ない」と述べた。

 欧州最多のイスラム教徒とユダヤ教徒人口を擁するフランスでは、世俗主義と宗教の問題をめぐり、たびたび論争が起きている。(c)AFP/Anne-Sophie MOREL