【3月29日 Xinhua News】中国で4番目に大きい砂漠、騰格里(トングリ)砂漠の辺縁に位置する甘粛省武威市では、太陽光発電と砂漠化対策が一体的に実施され効果を上げている。

 同市凉州区にある20万キロワット太陽光発電兼砂漠化対策プロジェクトの建設現場には、高さ2メートルを超えるソーラーパネルが約6500ムー(約4・3平方キロ)の敷地に整然と並ぶ。プロジェクトの技術責任者を務める肖鏵(しょう・か)氏は「建設には砂漠を克服するだけでなく、冬には氷点下20度の凍土に毎月1万5200本の杭を打つ必要がある」と厳しい自然環境での作業について説明した。

 中国インフラ大手、中国電力建設集団傘下の中国水利水電第七工程局は、プロジェクトチームを結成し成都理工大学と協力して、太陽光発電プロジェクトが位置する砂漠地帯の植生回復に技術的なサポートを提供している。

 ソーラーパネルは砂の移動を防ぐ障壁と同様の役割を果たす。風や砂がパネルを通り抜けることで風速は大幅に弱まり、砂も遠くまで運ばれない。同時に、太陽光発電アレイの外周に、わらなどを地面に格子状に埋め込んで砂の移動を防ぐ「草方格」を設置して1ムー(約667平方メートル)当たり2キロを基準に砂地植物を播種し、かんがいと組み合わせることで、外周の防風防砂林と太陽光発電所内の砂防エリアが効果的に砂の移動を防ぐ。

 植物が成長すれば風食に対する地表の耐性が大幅に向上し、風や砂によるソーラーパネルの架台の腐食や太陽光発電システムの部品の損壊を軽減できる。ソーラーパネルには、日陰を作り風を防ぐと同時に、太陽エネルギーの一部を吸収し、雨を集める機能もあり、温度を下げ土壌への水分を補充する効果もあるという。

 同プロジェクトは2023年末に系統接続し発電を開始した。完成・稼働後の年間平均発電量は4億キロワット時以上に達し、標準炭換算で12万3500トンの石炭消費を節約、二酸化炭素(CO2)排出量37万1500トンを削減する見込み。

 ここ数年、CO2排出量を30年までに減少へと転換し、60年までに実質ゼロとする「双炭」目標の下、甘粛省は中国西部における重要な新エネルギー拠点および新エネルギー設備製造業拠点の一つとなり、クリーンエネルギー開発と生態環境管理の組み合わせはますます効果を発揮している。全国第6次荒漠化・砂漠化モニタリングの結果によると、省内の荒漠化、砂漠化した土地はそれぞれ2627平方キロ、1045平方キロ減少した。(c)Xinhua News/AFPBB News