【4⽉4⽇ Peopleʼs Daily】中国の一連の気象衛星は「風雲(Fengyun)」シリーズと呼ばれている。初の打ち上げは1988年で、計21基の打ち上げに成功した。現在は9基が稼働中だ。全世界の気象観測ができる風雲は、世界の気象観測の主要な戦力になり、「一帯一路(Belt and Road)」の建設と運用にも大きく貢献している。

 欧州中期天気予報センター(ECMWF)首席科学者のニルス・ボルマン(Niels Bormann)氏は、風雲を利用したデータについて「弊センターの数値天気予報モデルのデータ同化において、ますます重要な役割を果たすようになってきました」と述べた。データ同化とは、シミュレーションと実測のずれを確認することでシミュレーションの精度を向上させる重要な作業だ。

 サンジャルベク・ムラトフ(Sanjarbek Muratov)国連食糧農業機関(FAO)駐ウズベキスタン代表は、風雲を利用しての中央アジアの干ばつの観測を評価した。干ばつのメカニズムと気候変動の影響の研究に役立ち、さらに関連地域での悪影響の低減と対応能力の強化に貢献しているという。

 昨年11月13日には国外ユーザーのために開発された衛星リモートセンシング総合応用プラットフォームの「国際版風雲地球」の提供が始まった。

 国際版風雲地球を利用すれば、気象衛星や数値予報などのデータを即時に取得できると同時に、人工知能(AI)技術により災害をもたらす天気や極端な気象をスマート化して識別できる。さらに雲分布、各種数値、災害事象、気候、モデル検証など5種類100以上の定量化された各種スケールの情報を取得でき、さまざまなビジネスにも利用できる。また、それぞれの国や地域の必要に応じて、重点を置く気象要素や観測エリア、時間範囲などを設定して情報を提供できる。

 国際版風雲地球は提供開始からしばらくして、ソロモン諸島で開催されたスポーツ大会の第17回パシフィックゲームズにサービスを提供した。中国気象局はソロモン諸島気象局の招きに応じて専門家を現地に派遣し、さらに「風雲4号B」のソロモン諸島を中心とした高速スキャン観測を実施した。そして国際版風雲地球を利用して数十種類の情報を提供し、大会の順調な開催を支援した。

 中国気象局は2018年4月までに風雲を利用した国際ユーザー向けの防災・減災緊急保障メカニズムを構築した。2023年は、同メカニズムの登録国が34か国に達した。

 風雲は2023年以降、国際緊急保障サービス要請に28回対応した。サイクロンのローラとモカの観測、ソロモン諸島やバヌアツ、バングラデシュなどへの気象関連情報の提供、さらにアルジェリア北部からチュニジア北西部にかけて多発した火災の観測は、現地での対策に役立った。

 過去5年間で風雲関連の研修に参加した国際ユーザー関係者は延べ1000人を超えた。また、中国気象局は世界の20以上の国と地域のために、風雲を利用するためのソフトウエア関連で50回以上の支援および国際ビデオ会議を実施した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News