【3月26日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)は25日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での5か月以上に及ぶ戦闘をめぐり、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramdan)」期間中の即時停戦を求める決議を採択した。イスラエルの同盟国である米国は棄権した。

 決議案は、アルジェリア、スロベニア、スイス、日本、韓国などが共同提出。全理事国15か国中、棄権した米国を除く14か国が賛成した。「即時停戦」を含む決議が採択されるのは初めてで、議場からは拍手が湧き起こった。

 決議は、即時停戦を「長期間、持続する停戦」につなげることを求め、イスラム組織ハマス(Hamas)をはじめとする武装勢力に対し、人質解放を要求している。ただし、人質解放を即時停戦の条件とはしていない。

 国連加盟国には安保理決議の履行義務がある。

 採決後、国連のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は「失敗は許されない」とX(旧ツイッター)に投稿し、決議の履行を求めた。

 ガザの即時停戦決議案にこれまで拒否権を行使してきた米国は、今回の棄権について、政策転換を示すものではないと主張した。ただ米国はここ数週間、イスラエルへの態度を硬化させている。

 採決の直後、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、代表団による訪米を見送ると発表した。ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領はイスラエルに対し、ガザ南部ラファ(Rafah)への地上侵攻作戦をめぐり協議を呼び掛けていた。

 ネタニヤフ氏は決議について、「国際的な圧力があれば人質の解放なしに停戦が得られるという期待をハマスに与えるものだ」と非難した。

 代表団とは別にワシントンを訪れていたイスラエルのヨアブ・ガラント(Yoav Gallant)国防相は、人質が解放されるまで戦闘を継続する考えを示し、「われわれに戦争をやめる道理はない」と強調した。

 一方、ハマスは決議を歓迎。カタールの仲介による人質交換協議への参加を表明した。(c)AFP