【3月26日 Xinhua News】中国原子力学会の王寿君(おう・じゅくん)理事長はこのほど、北京市の北京展覧館で行われた「2024年中国国際原子力工業展覧会」の開幕式で、「中国は独自の整った原子力工業産業チェーンを持つ世界でも数少ない国だ。本土には稼働中の原子力発電ユニットが55基あり、その数は世界3位となっている。建設中のユニットは26基で世界1位を維持した。22年と23年には2年連続で年間10基の新規建設が承認され、原発の建設は品質の高い発展の軌道に乗っている」と述べた。

 同展覧会の会期は今月19日から22日の3日間で、「『双炭』目標(二酸化炭素<CO2>排出量の2030年までの減少転換、60年までの実質ゼロ)実現をサポートし、原子力エネルギーの質の高い発展を共同で促進する」をテーマに掲げ、10数カ国・地域の110余りの企業・科学研究機関が参加し、展示面積は1万6千平方メートルを超える。

 中国が独自の知的財産権を持つ第3世代原子炉「華竜1号」、次世代「人工太陽」と呼ばれる全超伝導トカマク型核融合実験装置(EAST)「中国環流三号」、多目的小型モジュール炉(SMR)の実証炉「玲竜1号(ACP100)」など、中国の原子力工業の成果が展覧会で注目を集めた。

 王氏は「この展覧会は中国の原子力工業製品・技術、重点設備が世界に進出するための窓口であり、プラットフォームだ」と指摘。近年は中国の原子力に関する科学技術イノベーションシステムの能力が全面的に向上し、先進的な原子力技術の大規模化によって、国内の「双炭」目標の実現が力強く推進されており、原子力技術の応用や原発設備の国産化、原子力工業のデジタル化、スマート化などが経済発展を力強くけん引しているとの見解を示した。

 国有原子力発電大手、中国核工業集団の余剣鋒(よ・けんほう)董事長は「中国で稼働中、建設中、承認済みで建設待ちの発電ユニットの総設備容量は1億キロワットを超え、全国の原発発電量は累計で約4兆キロワット時に上る。うち23年の発電量は4300億キロワット時で、CO2削減相当量は約3億2千万トンだった。カーボンニュートラル(炭素中立)の目標実現を後押しし、世界の気候変動に対応する上で建設的な役割を果たしている」と語った。

 中国科学技術協会書記処の殷皓(いん・こう)書記は、原子力エネルギーを安全かつ秩序立てて発展させ、原子力の安全保障システムの構築を強化し、安全技術のレベルを持続的に高めることは、エネルギー構造の最適化とエネルギー安全保障の確保に役立つとの認識を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News