【03月19日 KOREA WAVE】
サムスン電機の自動車用IRIS(絞り)を搭載したカメラモジュール(c)KOREA WAVE
サムスン電機の自動車用IRIS(絞り)を搭載したカメラモジュール(c)KOREA WAVE

韓国サムスン電機光学通信ソリューション事業部電装光学チーム長のクァク・ヒョンチャン常務は14日のメディアブリーフィングで「いかなる気象条件でも使える全天候型カメラモジュール(複合部品)を開発し、顧客が望めばすぐに供給できる状況だ」と述べ、年内に量産する計画を明らかにした。

サムスン電機はモバイルで蓄積した技術を基に、電気自動車の自動運転などに使うカメラモジュール市場でも技術力を前面に押し出して市場を攻略したい考えだ。

ブリーフィングでクァク氏は「カメラモジュール市場は自動運転技術が発展したことにより、車両1台当たり4、5個だったのが20個まで搭載が予想される。サムスン電機はIT用で培った技術力を土台にカメラモジュール市場でも『キープレーヤー』になる準備を整えた」と強調した。

サムスン電機が開発した全天候型カメラモジュールは、市場最高性能の撥水コーティング技術とヒーティング機能が特徴だ。

自動車の車載カメラに水滴が残っていると車線変更などの時の走行安定性を損なうことになる。レンズに付着している水滴を素早く除去することが重要だが、サムスン電機が開発した撥水コーティング技術は撥水角を最大化し、水滴がレンズに接触する面積を最小化して水滴が簡単に吹き飛ばされるようにしている。

コーティングは日光や紫外線にさらされると摩耗することがある。サムスン電機が開発した撥水コーティングレンズは、従来の製品より寿命が6倍以上長い。土ぼこりや、駐車時の傷などによる摩耗を防ぎ機能を維持する性能は約1.5倍以上あるという。

このカメラモジュールは、ヒーティング技術も強みだ。冬季に霜などでカメラが凍り、誤作動を起こすことがあるが、ヒーティング技術はこれを防止する。レンズ部分を温めて常温を維持し、カメラモジュールに雪などがついていれば、1分以内に溶かす。ヒーティング動作をする時、一定の温度を維持する技術も開発し、消費電力を最小化した。

サムスン電機のハイブリッドレンズ(c)KOREA WAVE
サムスン電機のハイブリッドレンズ(c)KOREA WAVE

この日、サムスン電機はヒーティング機能が搭載されたカメラにスプレーを散布し、霜が消える過程を公開実験した結果、霜が消えるまで約28秒がかかることが確認できた。

クァク常務は「レンズヒーターは4~5年前から業界で開発されてきたが、レンズを温めるのではなく上にカバーをかぶせる方式だった。一方、サムスン電機の技術はレンズを温める方式であるため性能が良く、バッテリーの消費も最少で済む。以前に発売されたレンズヒーティング技術は霜を溶かすのに10~18分かかったが、私たちが開発した技術は1分以内に溶かすことができる」と強調した。

また、サムスン電機は自動車用IRIS(絞り)を搭載したカメラモジュールを世界で初めて開発した。光の量を調整するため絞りを開閉する精密な器具設計技術が必要となる。モバイル用と違い、氷点下40度からセ氏50度といった過酷な環境でも異常なく作動するようにしなければならない。

サムスン電機はガラスとプラスチックの長所を結合した「ハイブリッドレンズ」の開発も完了し、後方やサラウンドビューモニタリングなど車両用カメラとして供給する予定だ。

サムスン電機はカメラモジュール事業をモビリティーやロボティクス分野にも拡大する計画だ。

クァク常務は「ロボット犬や人型ロボットなどには目が必要で、目の役割とセンシングが必要な部分にはカメラが必要だろう」と語り、ロボット分野でもカメラモジュールの可能性は無尽蔵だという認識を示した。

(c)KOREA WAVE/AFPBB News