【3月18日 東方新報】世界経済の低迷などいくつかの不利な要因で、世界の玩具の売り上げは比較的低調な状態だという。しかし、中国新聞社(CNS)の取材に応じた広東省玩具協会(Guangdong Toys Association)の陳黄漫(Chen Huangman)会長は、中国の玩具産業の将来性については比較的に楽観な見方をしている。

 陳氏の説明によると、中国製の玩具は世界市場シェアの約70パーセントを占め、広東省(Guangdong)は中国最大の玩具生産・輸出基地だが、昨年の玩具輸出額は前年比7.4パーセント減の2858億元(約5兆9203億円)で、前年比7.4パーセント減少したという。

 しかし陳氏は「中国の玩具生産技術レベルは世界をリードしており、東莞市(Dongguang)、汕頭市(Shantou)、澄海市(Chenghai)などの産業集積地では、多くの企業がデジタル化を進め、スマート生産管理を実現している。例えば、積み木の汎用パーツでは、中国企業は誤差を厳密に0.02ミリ以下に制御できる。また、電子玩具や音声玩具などの智能化玩具で技術要求が高い製品の場合、世界的なおもちゃ会社は中国企業に生産を委託するのが一般的だ。それゆえ、東南アジアやメキシコなどの玩具産業が発展を続けているものの、欧米諸国の高級玩具市場で販売されている製品の80パーセント以上は依然として中国製である」と、中国製玩具の優位性を強調する。

 広東省玩具協会のレポートによれば、中国の玩具業界には、玩具とアニメを手掛ける広州市(Guangzhou)の潮昇動漫科技や汕頭の文具、スポーツ器具、玩具、電子玩具など高德斯精密科技など、自社の知的財産権を持つハイエンド新技術企業や専門特化型企業が次々と現れているという。

 これらの企業は、科学技術の成果の製品への活用を積極的に進めている。例えば、汕頭の実豊文化(Shifeng Culture)はチャットGPT(ChatGPT)スマートトイを開発し、星輝娯楽(Rastar)はVRリモコンや音声リモコン技術を駆使して、動的な玩具シリーズの制御方法を拡充している。中国の玩具産業と市場では、大衆向けのトレンド、IP化された玩具製品、多様な販売チャネル、異業種の融合、知的財産権保護意識の強化などの傾向が顕著化しているという。

 昨年、欧米の玩具市場では製品の約28パーセントが大人向けのもので、中国市場では若者向け市場が主流となる傾向にあった。これら市場規模は570億元(約1兆1808億円)と推定されている。

 中国の玩具産業は回復の兆しを見せている。中国玩具業界にとって今年最初の、また中国最大級の展示会である「第36回国際玩具と教育製品(深セン)展覧会」が4月に開催されるが、現在すでに4900以上の確定ブースと1400以上の出展企業が参加登録している。これは前年比10パーセント以上の増加で、過去最高を更新する。また現在、20以上の国と地域から展示会への訪問の申し込みが来ており、これは前回比50パーセント増となる。

 陳氏は「中国の玩具産業は完全なサプライチェーン、産業集積などの優位性を持っており、これにデジタル化、スマート化が加わり、玩具産業はこれから質の高い発展の道を進む」と見ている。(c)東方新報/AFPBB News