【3⽉21⽇ Peopleʼs Daily】江蘇常州環境監視観測センターの沈偉(Shen Wei)生態科副科長らは早朝から工具箱を持って太湖(Taihu)に流れ込む水が通過する滆湖(かくこ)に足を運んで水質と水生生物の定例モニタリングを行った。

 実験室に戻ると、分析作業が急ピッチで進められた。沈副科長は「国家二級保護動物の淡水マテガイを確認しました。何度も発見しています」と述べた。滆湖の水生生態状況が改善されつつあることの証拠だ。

 中国政府・生態環境部は先ごろ、中国科学院と共同で「全国生態の質監督観測活動計画(2023-2025年)」を発表した。内容には全国生態の質観測ネットワークの構築および雲南省(Yunnan)シーサンパンナ(Xishuangbanna)・タイ族自治州の森林モニタリングステーションや江蘇省(Jiangsu)常州市(Changzhou)の湿原モニタリングステーションなど、国家生態の質総合観測ステーションの第1期分55か所の設置が含まれる。

 発表された総合観測ステーションは森林、湿地、草地、砂漠、海洋、都市、農地などの生態系の類型を全てカバーしている。

 雲南省シーサンパンナ国家級自然保護区では、中国科学院の研究ステーションに所属する研究者の袁盛東(Yuan Shengdong)氏らが曲がりくねった道に沿って、密林の奥に入った。

 袁氏や同僚は時間の大半を野外での作業に費やす。袁氏は「生物、気象、水文、土壌など年間で100万件以上のデータを取得します」、「森林生態系の観察やモニタリングは、短期間では収穫を得にくいのです。日々の作業を通じて長期的にデータを蓄積してこそ、熱帯雨林の動的変化の研究を達成できます」と述べた。

 地べたを這うような地道な活動も重要だが、それだけではない。生態環境部生態環境モニタリング局生態モニタリング課の董明麗(Dong Mingli)課長は、「衛星、有人機、無人機、地上での定点観測、巡回観測などの観測手段を統合して宇宙と空中、地上の一体型のモニタリング技術体系を構築します」と説明した。

 衛星によるリモートセンシングの強みは広範囲をカバーでき、地表の変化を素早く知り生態破壊の問題を発見できることだ。無人機には機動力があり、可視光線、赤外線、レーザーレーダーなどの機器を搭載して、重点エリアの生態破壊問題の実地検証と技術検証を迅速に展開できる。地上モニタリングでは遠隔撮影モニタリングや巡視モニタリングなどにより、デリケートなエリアのリアルタイムモニタリングを行い、人為による環境への影響などの問題を速やかに発見できる。

 生態の質のモニタリングは生態破壊問題の「能動的発見能力」の向上にもつながる。ある関係者は「例えば藍藻類のアオコは太湖の管理を悩ませている際立った問題です。モニタリングステーションは歴年の観測データを利用して、水草と藍藻類の競争的な成長メカニズムの研究を行い、生態環境の人工修復を科学的かつ正確に展開するための技術支援を行います」と説明した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News