【3月13日 東方新報】中国は月探査で目覚ましい成果を上げ、現在も2台のロボットが月面で活動している。また、月の裏側からサンプルを回収するなどの今後の計画も発表している。

「これらの野心的な試みは、科学研究の目的だけでなく、人類のために月の資源を発見し、開発するという壮大な願望をも抱いてもいます」、中国の月計画を主導する科学者はこのように抱負を語る。

 中国空間技術研究院の楊孟飛(Yang Mengfei)上級研究員は、今後の月資源の開発計画のプロセスについて「最初のステップは、大量のロボットを送り込み、資源が豊富な場所、特に回収可能な凍った水がある場所を探索することだ。水があれば、酸素や水素を作り、植物を育てることができる。そして、金属やシリコンを含有した鉱物資源を見つけ、それらを高度な精製プロセスにかける。その後それらを原料にして3Dプリンターで建設資材やソーラーパネルなどを製造し、道路や構造物、発電所を建設する」と説明する。

 楊氏は「その頃には、人類はロボットの長期運用や人間の短期滞在をサポートする基地を設置できるようになるはずだ。宇宙飛行士は基地内で電波望遠鏡のような科学装置を造り、基地の近くに設置するだろう。大気や電磁波の干渉がないため、月面が天体観測には最適だ。月の基地はまた将来的には、太陽系内のさらに遠い目的地へ人類を運ぶ宇宙船への燃料補給基地にもなり得る」と話す。

 また楊氏は「科学技術の進歩により、将来は月で核融合発電所の理想的な燃料であるヘリウム3を抽出できる可能性が高い。もちろんそれは簡単なことではないが、もし実現できれば、地球上の人類にとって非常に大きな意味を持つ」と強調する。専門家によると、地球上には15トンから20トンのヘリウム3が存在すると推定されるが、月には少なくとも100万トンが存在する可能性があるという。

 楊はまた、次の50年についてのビジョンを語った。

「私の楽観的な予想では、予見可能な将来に、普通の人びとが地球と月の間を旅行できるようになる。科学技術の進歩は、間違いなく我々の文明を前進させる。もしも月旅行が私やあなたのような一般庶民にも可能になれば、月は人類にとって『8番目の大陸』になるだろう」、楊氏はさらに50年後の夢をこのように語った。

 楊氏は、中国初の月サンプル回収ミッションを達成したロボット宇宙船「嫦娥5号(Chang'e-5)」の設計を主導したことで広く知られる科学者で、中国人民政治協商会議(CPPCC)全国委員会のメンバーでもある。

 中国は2004年に月探査計画を開始し、07年以来6機のロボット探査機を打ち上げている。最新のミッションである「嫦娥5号」は、20年12月に月に着陸し、1731グラムの月の岩石と土を地球に持ち帰った。(c)東方新報/AFPBB News