【3月11日 AFP】米カリフォルニア州ハリウッドで10日に行われた第96回アカデミー賞(Academy Awards)授賞式で脚本賞などにノミネートされていた『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(The Holdovers)』をめぐり、盗作疑惑が浮上している。

 米娯楽誌バラエティによると、告発したのは、ピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar Animation Studios)のアニメ映画『あの夏のルカ(Luca)』の脚本の共作などで知られる英国人のサイモン・スティーヴンソン(Simon Stephenson)氏だ。

 アレクサンダー・ペイン(Alexander Payn)監督の『ホールドオーバーズ』では、1970年代の全寮制の寄宿学校を舞台に、気難しい教師と寮の食堂の料理長、そして帰省できない学生とが休暇を一緒に過ごすというストーリーが展開する。一方、スティーヴンソン氏によれば、自身が手掛けた『Frisco(原題)』は、15歳の患者の面倒を見なければならなくなった厭世(えんせい)的な医師の物語だという。

 スティーヴンソン氏は今年1月、『ホールドオーバーズ』が『Frisco』の脚本から細部にわたって盗用している証拠が「山のようにある」として、自身の懸念を電子メールで全米脚本家組合(Writers Guild of America)に伝えていた。

『Frisco』の脚本は、ハリウッドで映画化されていない脚本を集めた「ブラックリスト(Black List)」と呼ばれるサイトに登録されている。スティーヴンソン氏によれば、ペイン監督はこの脚本を2回閲覧しているという。

 バラエティによると、ペイン監督と、『ホールドオーバー』で唯一の脚本家とされているデヴィッド・ヘミングソン(David Hemingson)氏は今のところ取材には応じていない。

『ホールドオーバー』はアカデミー賞で脚本賞や作品賞、ポール・ジアマッティ(Paul Giamatt)の主演男優賞など5部門でノミネートされていたが、受賞はダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(Da'Vine Joy Randolph)の助演女優賞にとどまった。(c)AFP