【3⽉17⽇ Peopleʼs Daily】南極のロス海(Ross Sea)にあるインエクスプレッシブル島で2月7日、秦嶺基地の運用が始まった。

 2024年は中国の南極観測40周年に当たる。中国はキングジョージ島(King George Island)の長城基地(Antarctic Great Wall Station)、ラーズマンヒルズ(Larsemann Hills)の中山基地(Antarctic Zhongshan Station)、さらに内陸部の崑崙基地と泰山基地と、南極での基地建設を続けてきた。5番目の秦嶺基地は中国にとって3か所目の常駐観測基地でもある。

 長城基地の場所は亜南極生態観測に適している。中山基地周辺は南極の氷床の進化過程や南極棚氷と海洋の相互作用を観測するのに理想的な地であり、高空物理、地質学、地球物理などの研究にも良好な場所だ。崑崙基地と泰山基地は南極内陸部にあり、氷床科学、大気科学、天文学などで最先端の研究が進む。ロス海エリアでは岩石圏、氷結圏、生物圏、大気圏など地球システムにおける多くの圏層が相互作用している特徴があり、南極の変化と世界の連動などの重要な科学命題を探るのに役立つ。

 中国の南極における活動は、環境や生態に及ぼす影響に配慮して進められてきた。長城基地では1990年9月初め、基地周囲のアザラシの良好な出産環境を確保するために、すべての乗り物の使用を一時的に停止し、観測の際にも移動手段を「徒歩」だけにした。

 2008年の第31回南極条約(Antarctic Treaty)協議国会議では、中国が設立を提案したグローブ山ハーディング山特別保護区の設置が可決された。これは中国として初めての、南極特別保護区設置の単独提案だった。

 中国が初めて自主建造した砕氷船「雪竜2」号はまさに「グリーン船」だ。同船は排気、汚水、ごみの排出の抑制や空調のリアルタイム調節、さらには塗料関連も環境保護の要求を厳格に満たしている。

 環境保護の理念は、新しい秦嶺基地の建設でも貫かれた。中国国内で施設の各部分を作り、現地では組み立てるだけのプレハブ工法で省エネ、節水、節資源を実現した。建設に伴い影響を与える現地の面積も最小限にした。

 中国はまた、国際社会の南極管理の重要な参加者であり続けた。1983年には南極条約に加盟し、1985年10月には中国は南極条約の協議国になることで、南極についての国際的政策決定にも参画することになった。

 2017年には第40回南極条約協議国会議と第20回南極環境保護委員会会議を主催した。中国が先頭に立って提出した「グリーン調査」の提案は、国際社会で広く承認された。2023年には多くの国が共同で提出した南極氷床の航空調査の国際協力に尽力し、世界の海面上昇予測の精度向上に関する提案が支持を得た。中国は2012年以降、国際機関に対して極地関係で累計80件以上の提案文書を単独または共同で提出し、極地の環境保護、資源維持に関する制度とルールの制定に全方位的に参加している。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News